2017年1月アーカイブ

語学書蒐集

| コメント(0) | トラックバック(0)

私にとって製本というのは、なにか作品や商品として製作して展示したり販売したりするものではなく、自分が欲しいものを使い勝手と使い心地が良いものに仕立てることだと考えています。

以前は毎月手創り市に出展して、製本サンプルを並べたり、ちょっと売れそうなものを考えていくつか出したりもしたのですが、そもそも、何のための製本なのかを考えたとき、ちょっと違和感があったのも事実です。

売るためにせっせと作る気にはならない、という気持ちはずっと前からあって、じゃぁ、なんで手創り市に出展しているの?ってことにもつながってくるのですが、私としては、書物だって他のモノと同様に手仕事でできることなんですよ、ということを知ってもらえたら良いかな、というぐらいの答えしか思い浮かびませんでした。

では自分がほしい本というのは、という話しになるのですが、小さな本工房がなにかオリジナリティのある本を作り出すだけのチカラ(財政的な面でも、内容に対する能力面でも)があったら、ある種の語学書を作ってみたいな、と考えています。

こんなものが欲しいという漠然とした思いはあるのですが、それに近いモノがないかとちょっと古い語学書を蒐集しています。

大型の書店でもあれこれ手にとって眺めてみるのですが、手当たり次第購入するだけの資金もありませんし、置き場も余裕がないので(すでに部屋の中は棚から溢れた辞書やら参考書が積み重なっている状態ですし)、新刊書店の棚にないような古書ばかり集めるようになりました。たいていは昭和の本です。

今、語学書には音声ファイルを収録したCDがついているのが当たり前になっていますが、むかし(私が大学で外国語を専攻していた頃もそうです)はカセットテープの時代で、テキストがいくら、そして別売りのテープがいくら(しかも本よりも高い!)というような感じでした。それを思うと、CD付きでこの値段で買えるということがどれだけありがたいことか・・・という気持ちになってしまいます。

専攻していた外国語は、当時はあまり教材もなく、集めるというような感じではありませんでした。いまは溢れるほど出ていますが、まぁ、興味がないので。量的には非常に増えたのは事実ですが、質的な面で豊かになったかというと、わたしはギモンに思っています。

専攻とは関係なく、いま集めている語学書はドイツ語やフランス語、ロシア語など。言ってみれば、むかしの「第二外国語」で一般的だったものです。

特にドイツ語関係の古書を重点的に蒐集していて、学習書(自習書)だけでなく、読解用の対訳教材や訳注書、単語・熟語集、独文解釈や和文独訳の教材など、いまの新刊書店の棚にはないようなものもあります。

英語だと、大学入試とも直結していて、文法書や英文解釈や英作文、単語集なども充実しているし、受験と結びつかなくても、TOEICなど検定試験対策の教材もあるし、それとはまた別に一般向けの教材もあるし・・・といった状況なのに、例えばドイツ語やフランス語では同じような充実度が期待できるかというと、残念ながら・・・ということになってしまいそうです。ただ、手元の「昭和の語学書」はかなり高度な内容のモノもあって、今では書店で見かけないだけの話し、なのかもという感じもしますし。

「いま、目の前にあるもの」だけを見ていたら、絶対に気づくことがないような教材がかつてはあったという事実を知ることができるかどうか、これは案外重要なことなのではないかと思います。もちろん、語学書に限ったことではなく、ほかのどんなことについても言えるのでしょうが。

そんなわけで、手元に集まった語学書を眺めながら、もし小さな本工房がなにか新しい語学書を作るとしたらこんなモノが良いのでは、とか、この本をこんな風にアレンジしたら使いやすいかも、とか、この単語集を逆配列にしたら便利だろうな、とか、英語の語源単語集と同様のものができないだろうか、とか、訳読用の注釈書はこれが参考になりそう、なんてことをあれこれ考えているのです。

私は、もともと「創作系」ではないので、なにか文章を書いたり絵を描いたりして、それを製本して売ろうとか、発表するという発想はない、でも、もし自分が編集者であり、企画者であり、また同時に製本もこなす出版人だったら、こんなモノを作ってみたいという構想はいくつかあって、あとは時間と金と、頭の問題(結局全てが・・・ってこと?)なのです。

翻訳詩集

| コメント(0) | トラックバック(0)

過去にも何度か書いたことがありますが、「翻訳詩集」というものを作っています。

IMG_0559.JPG最初に作ったのが、シュトルムの「ヒヤシンス」の日本語訳をあつめたもので、最初に作ったときは7通りの飜訳を一冊にまとめました。

もともとシュトルムやシュティフターの翻訳書を蒐集していたので、手元にある資料だけでまとめることができました。

その後、資料が増えて、今のところ9通りになりました。

7訳のときは「はん・ぶんこ」サイズで16ページに収まっていたのですが、飜訳が増えたので体裁を変えて再度作り直しました。新しいものは文庫本サイズで、片面のみ印刷して紙全体をロウ引きし半透明にしてみました。間に別の紙を挟んで、読みやすいようにしてみました。良い感じです。

写真は、ドイツ語の原文。InDesignで入力したテキストをもとに、樹脂版を作ってもらい、装飾料紙に印刷してみました。古書の雰囲気を醸し出せたら良いなと思っていたのですが、見事にピッタリです。

日本語訳以外に、英訳と仏訳も見つけたので、こちらもあわせて一冊に仕立てるつもりです。

翻訳詩集の第二弾はやはりシュトルムの作品で、「みずうみ」の中にも出てくる「森の中で」です。こちらは詩集のほかにも「みずうみ」の翻訳書や対訳教材からも翻訳を蒐集したので、目下29通り。こちらはページ数も多くなり、読み比べる楽しみも味わえます。

翻訳は出版年が古いものから順に並んでいて、初期のものでは五七調や七五調で訳されていたり、いろいろと発見があります。

これはまだ製作途中ですが、いつかお披露目できたら良いなと思っています。

reliure

| コメント(0) | トラックバック(0)

reliure.jpgむかし「外国語学部」というところで学んだこともあり、辞書が部屋のあちこちに置かれています。

単に書棚に入るスペースがなくて、こたつのまわりに無造作に(こたつから出なくても手が届く範囲で!)置いてあるだけのことなのですが。

いま作っているフランス語の逆配列による動詞リスト&活用表をちょっと充実させようと、あれこれ考えています。単なる動詞のリストでもなく、また、単なる活用表でもなく、なにかもっとおもしろくて役に立つような・・・

訳語に英語も加えたらちょっと便利かなと思って、この辞書を取り出してみました。角川書店の『アポロ仏和辞典』です。既存の仏英辞典に和訳を加えたもので、英訳は別色で印刷されているので、区別しやすいようになっています。

さて、この辞書で "reliure" という語を引いてみたところ、こんな解説がありました。

◆製本は大別して、reliure manuelle(手造り製本)とreliure industrielle(機械製本)に分かれる。化粧裁ちをしないbrochage(仮綴じ)は本の形にまとめるだけなので、製本ではあるが装丁とはいわない。超豪華装丁には金表紙や宝石をちりばめたものなどもあるが、主流は革装で、vélin(子牛革)、maroquin(モロッコ[ヤギ]皮)、basane(羊革)、parchemin(ヤギまたは羊革)、chagrin(ヤギまたは羊の粒起革)などが用いられる。革を使用する部分によって、pleine reliure(総革装)、reliure amateur(背と表紙角の革装)、demi-reliure(背のみ革装)に3大別。ほかに、reliure en percaline(上製布装)、reliure en toile(クロース装)、cartonnage(カートン表紙背布装)、reliure [à la] bradel(カートン装)、reliure en plastique(ビニール装)など。欧米では、自分の読んだ仮綴じ(livre broché)を好みの色の革装本(livre relié en cuir)に仕立てなおして愛蔵する愛書家が多い。

私がつくる本は糸でかがっただけで、そのあと立派な表紙をつけるとか、化粧裁ちをするわけでもないので、この説明によれば、brochageということになるのかなと。

工芸製本reliure manuelleに興味がないわけではないけれども、それとは別の、もっと身近な製本をしていきたいし、それを案内していきたいなと考えています。

The Thread That Binds

| コメント(0) | トラックバック(0)

IMG_0645.JPG丸善日本橋店3階にある洋古書店、ワールド・アンティーク・ブック・プラザでこんな本を見つけました。

The Thread That Binds

21人の製本家への取材をまとめた本です。

手元に、英語で書かれた製本の指南書は何冊かありますが、なにか特別調べ物をするとき以外は滅多に開くことはありません。

でも、この本はおもしろそうなのです。実際にアメリカで活躍している製本家の話(もちろん文字化されたものですが)を聞くことができるのです。

全て英語なので、すんなり理解出来るわけではありませんが、製本に関する語彙を集中的に覚えてしまえば、おおきな勘違いはせずに話しを追っていく事ができます。どうしても分からなければ辞書を引けばすむ話しだし。

逆に考えると、製本に関することを英語でどう言えば良いのかがズバリ分かるという、とってもお得な「表現集」を手に入れたと言っても良いかもしれません。和英辞典を引いたって、適当な表現にたどり着くかどうか怪しいところだし。

ひとりあたりの記事は約10ページ、ちょっと時間を割くことができればなんとか読み切ることができそうです。

質問はこんな感じ・・・

"How did you start in binding?"

"What brought you into bookbinding?"

"What is your favourite part of being a bookbinder?"

"What about things you really dislike about your job?"

"What advice would you give to someone who is interested in pursuing bookbinder as a career?"

こんな質問を投げかけられたら、どんな答えが返ってくるのか気になってしまいます。

逆配列

| コメント(0) | トラックバック(0)

IMG_0639.JPG手元に『語尾からの配列による基礎フランス単語集』という本があります。

どういうものかというと、通常の辞書は見出し後のはじめのほうからABC順に並ぶのですが、この単語集は語の終わりからABC順に並んでいます。

フランス語の場合、動詞が、-er、-ir、-re、-oirで終わるので、その部分を見ると動詞がずらっと並んで出てきます。しかも、活用パターンが同じものが並んで出てくるので覚える際にも整理しやすくなります。

単語集の下にあるのは黒田龍之助さんの『寝るまえ5分の外国語』という語学書書評集です。この本でも紹介されていて、「学習者として長年わたし自身が構想していたのが、まさにこれだった。」と書いています。

手元に、英語のものはある(『英語逆引辞典』、『逆配列英単語速習』、どちらも郡司利男編著)のですが、ほかの言語でもあったら便利だろうなと考えています。専門的なモノでなくても、2000~3000語程度の分量で。

というわけで、FileMakerを使い、単語を入力すると自動的に逆配列にできるように計算式を作って、単語リストを作ってみました。まだやりかけで、いろいろとチェックしなければならないのですが、十分に使えそうな気がします。

IMG_0520.JPGまずは、フランス語の動詞のみのリストを作ってみました。白水社の『徹底整理フランス語動詞のしくみ』にある約700の動詞リスト(不定法索引)を通常通り入力して、逆配列に並べ替えてみました。

試作品なので、書き込みやチェックの跡がそのまま残っていますが、こんな感じです。このリストに、活用パターンを記号化して加えるとか、あるいは同じ変化の動詞が並ぶのであればその代表動詞の活用表を挿入する(『語尾からの配列による基礎フランス単語集』は代表動詞のところに直説法現在の活用表が載っています)と、より使いやすくなるのかな、なんて考えています。

むかし作ったのは、単純に活用表をわかりやすく並べ替えて色づけしたものだったのですが、どの動詞が同じ活用をするのか、あるいは、他とどう違うのかがいまいちハッキリしませんでした。

どの程度うまくまとまるか、まだ全く分かりませんが、単なる活用表よりはずっと使い勝手が良いものができそうな気がします。そしてうまくいくようだったら、他の言語でも試してみたいなと考えています。

百人一首

| コメント(0) | トラックバック(0)

karuta.jpg5年前にはじめて作った豆カルタ、年末年始の百貨店催事で豆本と一緒に並べて(散らして)展示しました。

その後、別のイベントや手創り市などのために製作し、何人かのお客さんにお求めいただくことができました。

写真は最後に作ったもので、取り札のみ100枚、ピッタリサイズの箱入りです。

この豆カルタ、A4用紙2枚に札の画像を印刷し、まず厚紙に貼り付けます。完全に乾いたら、100枚に切り分け、札の裏に糊を塗って色和紙を貼ります。

色和紙を札の縁から3ミリだけ残して切って、最後に札を包むように糊付けして完成です。

一枚一枚手作業なので、一通りの工程を終えるのに半日ぐらい(乾燥時間などを除いた実質作業時間)かかります。

hyaku.jpgさて、本工房で取り組んでいるのが、百人一首の外国語訳を蒐集し、「はん・ぶんこ」や名刺サイズの小さな本に仕立てること。

2012年の春に大学の図書館での企画展示のために製作した「はん・ぶんこ」サイズの本は14冊(つまり14通りの飜訳)でしたが、その後あらたに入手した古書やウェブ上で見つけたデータを加え、昨年1月の時点で24通りの飜訳が集まりました。

(この時点で、英訳14、独訳3、仏訳3、露訳2、中訳1、韓訳1でした)

これを FileMaker というデータベースソフトで一つに集約しました。こうすると、一首ごとに異なる飜訳を並べて読み比べることができるようになります。

昔作った「飜訳詩集」はシュトルムの「ヒヤシンス」や「森の中で」を複数の日本語で読み比べるものですが、この逆バージョンという事になります。

実は、入力済みのものが24通りなのですが、まだ入力作業が済んでいない資料がいくつかあって、もう少し増えそうなのです。この先どうなるのか、たのしみです。

手仕事としての製本

| コメント(0) | トラックバック(0)

ブログを振り返ってみたら、去年は記事を一つしかアップしていませんでした。

しかも、ほとんど「業務連絡」的な内容という・・・

meishi.jpgさて、昨年末、活版TOKYOでお世話になっているまんまる〇さんに小さな本工房の名刺を印刷していただきました。

これまで使っていた名刺はPCでレイアウトし、家庭用のプリンターで印刷したものでした。長いこと同じデザインで使ってきたものでそれなりに愛着もあるので、もうしばらく使い続ける予定です(活版名刺には、住所と電話番号が入っていますが、従来のものには入っていません)。

名刺に「手仕事としての製本」と入れてみました。

「手製本」としても良かったのですが、なんだか工芸製本のようなイメージがあって、西洋のルリユール作品を連想されそうなので、ちょっと抵抗がありました。

過去にも何度か書いていますが、自分が目指している方向が工芸的なものではないし、また、機械で量産される本に対する反抗心や、紙の本へのこだわり、使い勝手と使い心地を優先した造本様式などをひっくるめて、「手仕事」ということばで表してみました。どこまで伝わるかは分かりませんが。

自分自身を「製本家」と名乗ることができるのか、まだまだ自信がないし、そもそもが「自家製本」なので作品、商品として世に出回ることもほとんどなく、知られる機縁もないのですが、ワークショップなどを通して地道に活動を続けていきたいなと考えています。

Powered by Movable Type 5.2.3