古書道楽

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まだ自分で本を作るなんてことを考えていなかった頃、本を読むことよりも集めることが趣味みたいな感じでした。週末はほぼ決まって古書店巡り、いつも収穫があったわけでは無いけれども、とにかく見て回るのが愉しかった。

もちろん何でもかんでもというわけにはいかないので、ある程度狭い範囲での蒐集です。

ひとつはシュティフターやシュトルムの翻訳書。これはもうコレクションと言ってもいいくらいかもしれません。いまネットで古書を買い集めることもできるけれども、ここにあるものすべてを探し出せるかと言ったらたぶん無理だろうなと思います。これらの本を集めていたのは1990年代でしたが、古書店の棚を注意深く探せばある程度は見つけることができた最後のチャンスだったかもしれません。その後はそれほど真剣に探すこともなくなったし、気づかないだけかもしれませんが、外文の翻訳書は滅多に見かけなくなりました。

翻訳書の他、わりと古めの語学書も集めていました。集めただけできるようになったかというと、・・・・・・なので、手元にあるだけで満足といった部類のモノです。最近の会話が中心の教材には全然興味がなくて、古典的なスタイルの本ばかり。でも、今の教材にはないようなしっかりした感じがあります。いまの教材は確かに興味を持たせるような工夫を施してはあるけれども、私はあんまり好きではないのです。まぁ、好みの問題でしょうけど。

語学書を集めているのは、外国語で書かれた書物を読みたいから。そんなわけで、書棚には洋書も結構たくさんあります。しかも50年から150年ぐらい前の古書ばかり。これは国内の古書店で購入したものよりもネットで購入したものの方が多いかもしれません。外文の翻訳書を自分で歩いて探し回ったのとは対照的に、こちらはネットで検索。現実問題としてこちらの方が早くて確実ですし、便利な時代です。

洋古書のナカミはというと、これもまた偏っていて、あまり一般的でないものばかりです。普通に生活する上で、古い洋書が必要なわけがないし、それが書棚一つ分ぐらいあるなんて、すでに「普通」ではないですね。

一番多いのが香草関係です。その始まりは1994年に3月に購入した M.Grieve の "A Modern Herbal" という二巻本。1931年に出版されたもので、手元のモノが初版本かどうかははっきりしませんが、古い版であることは確かです。この本に挟んであった広告が気になって、数年後に入手したのが C.F.Leyel の "The Magic of Herbs"(1926) です。ハーブのフォークロア的な側面に興味があったので、この本はどうしても欲しくなり、ネットで取り寄せました。

C.F.Leyel は他に、"Herbal Delights"、"Compassionate Herbs"、"Elixir of LIfe"、"Hearts-ease"、"Green Medicine"、"Cinquefoil" といった本があります。

そしてもう一人、Eleanour Sinclair Rohde の本も。なかでも "A Garden of Herbs" は特別な一冊です。なぜ特別かというと、この本の中に著者 Rohde の自筆やタイプされた手紙が数点挟んであったから。もちろん本の内容も素敵なのです。他にも古い園芸書、本草書に関する本や文学との関わりに関する本もあって、興味の対象が重なるのです。個々の書物については、また別の機会にでも書きたいと思います。

園芸繋がりで Jekyll の本も、といっても手元にあるのは "Wood and Garden" だけですが。1899年のもので、綴じが壊れてしまっているので、ちょっと使いにくい。直そうと思えばできるだろうけど、しばらくはこのままにしておくつもりです。オリジナルの本はないけれども、Jekyll の "Children and Gardens" はアーカイブスサイトで書物のスキャンデータをみつけたので、はん・ぶんこの本に仕立ててみました。良い感じです。

ハーブだけでなく、イギリスの自然を言葉でスケッチしたような文筆家がいます。 Richard Jefferies です。岩波文庫の『野外にて』がきっかけで、英文を確認してみたくなり、書物を集めるようになりました。"The Open Air"のほか、"Wild Life in a Southern County"、"The Life of the Fields" 等々。自然描写のなかで、あるいは人々の生活を描く中でふつうにハーブが出てくるのが魅力。ハーブや野の花が出てくるページを使って押花帖みたいなものを作ってみたいと考えています。

それから植物図鑑。19世紀後半のモノだと思います。全6巻で相当なボリュームですが、植物図譜がときどきプレートに入って売られていることがあります。この本、植物学的な記述もありますが、それ以外のことがいろいろ書いてあるのがおもしろいところ。どのような使い方があったのか、古詩の引用があったり、民俗誌的な記述があったり、読み物としても魅力があります。

図版が美しいモノと言えば、花言葉の本が数冊。カラーの石版印刷がとてもきれいなのです。その中の一冊はスキャンしてミニチュア本を作ったり、封筒などのステーショナリーに加工したりしてみました。花言葉の本の中に、Greenaway の本もあります。初版本らしいのですが、そうでなくても美しさは変わりありません。

そして最後になってしまいましたが、主に1880年代に出版された植物民俗誌関係の本。英語だと "Plant-lore & Garden-craft of Shakespeare"、"Plant Lore, Legends and Lyrics"、"Flowers and Flower Lore"、"The Folklore of Plants"など。 他に独逸の古書でも同様のモノが数冊。

サイトのトップページある四つ葉のクローバーの画像はドイツの古書店から届いた植物民俗誌の本です。この本のこのページにクローバーが挟んであったのです。本そのものは100年以上前のものです。いつ誰が挟んだ物か分かりませんが、いまここにこの本がある、それだけでも素敵なことのように思います。

これらの書物も電子化してしまえば、スペースもとらずに、どこにでも持ち歩くことができるのでしょうが、何でもかんでもデジタル化されるのは素っ気ない感じがします。

古い書物を眺めながら、カタチや重さ、匂いがある「書物」にこだわりたいという気持ちを新たにしました。

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