2014年4月アーカイブ

趣味・特技・しごと

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5月の連休中に、「ギャラリーらふと」での展示会、「風の予感 vol.1」があります。
ほかの4人の作家さんと一緒に展示していただくことになりました。どんな展開になるのかたのしみです。

さて、ここ数日ずっと手を動かしてなにかしら作っていたのですが、作業をしながらあれこれ考えたことをちょっとだけまとめておこうかと。

いまやっている手製本って、いったい? わたしはなぜこんなことをしているのか? ってことです。

その前に、直接は関係ないけれども、これまでのことをすこしだけ。

わたしにとってモノ作りの原点は農作業だったのだと思います。好きこのんで農作業に従事していたわけではなく、うちが農家だったから小学生の頃からずっと手伝わされていた、それだけのことなのですが。作物を育てることがすなわちモノ作りの基礎となっているって、今になってみるとよく分かるような気がするのです。

大学を出た後で、ハーブを自分で育てるようになったのも、農作業の経験があったからなのかもしれないし。

ただ、大学でやっていたのはモノ作りとはほとんど関係なく、それは外国語でした。もともと外国語学部を志望していたけれども、何語を専攻するかは明確な理由があったのかどうか、あやしいところです。英語を専攻する気にはならなかった。強いて言えば、人がやらないことをやりたかった、って程度だったのかもしれません。

でも、一応は真面目に取り組んで、学部3年の時に通訳案内業国家試験に合格し、その後お金を頂くような仕事をちょっとだけしたことがあります。

だから、語学に関しては、本当ならば趣味とか特技ではなく、しごとであっても良いはずなのに、今はまったく無縁。そればかりか、もう特技とも言えないし、趣味で何かを読んだりってことも無くなってしました。

学生の頃は英語から逃げていたのに、ハーブの書物を読みたいがために、また英語と向き合うことに。仕事のためとか、検定試験のための勉強なんてしたくないし、その気もない。別に会話ができるようになろうなんて気持ちもないから、辞書を引きながらでも読むことさえすればそれで十分。だからしごととも特技とも結びつかない、趣味であっても良いと思っています。

ハーブに出会ってから、古い洋書を集めるようになりました。まだ「ハーブ」って何?ってくらいの時期だったので、日本語で書かれた本だけでは物足りない気がしたのです。

ハーブだけでなく、植物民俗誌に関する書物も集めるようになってから、蒐集対象が英語だけでなく、ドイツ語やフランス語のものも含まれるようになりました。

その読解力を身につけるために作り始めたのが「はん・ぶんこ」サイズの例文集や文法便覧のたぐいです。電車の中やちょっとした空き時間に眺めるには、このサイズ、そして糸かがりの本がちょうど良いのです。

だから、なんの関係もなさそうに見える外国語とハーブと手製本がきちんと結びついている。私の中ではそれぞれが無関係に存在するのではなく、ある意味必然ととらえています。

その中で軸になっているものがハーブなのかもしれない。ハーブの民俗誌のために書物を蒐集し、それを読むために外国語を学び、その学習のために手製本がある。ちょっと無理矢理って気がしないでもないけれど、案外当たっているような。

手製本を始めたきっかけの一つは、「香草民俗誌」を書物のカタチにまとめてみたいと思ったから。

文化誌的なハーブの本を作ろうと思い立って、いろいろな資料から書き写したノートがあります。10年以上前に作ったファイルで、その当時手元にあった資料をもとにまとめたものですが、その後洋古書が増えたので、これらの資料も加えて再度見直してみようかと。

ハーブの名前とか、学名の語源、ことわざや言い伝え、俗信、迷信のたぐい。魔女のハーブと魔除けのハーブ、縁起が良いもの、悪いもの、等々。

英語の本で、似たようなモノがあるのですが、どうせなら自分で作ってしまおうと。もちろん、そんなに簡単にできるようなしごとではないし、それこそライフワークみたいな感じで。

なにかを知る愉しみ、調べる愉しみ。
そしてなにかを作る愉しみ、創り出す愉しみ。

その真ん中に書物があります。

紙を折って糸でかがって本を作るのはひとつの作業なのかもしれないけれども、中身がある書物を創るのはもっと大きな仕事のような気がします。

作るにも技術が要るし、創り出すためにはそれに加えて「ソウゾウリョク」も必要。なにを創りたいのか、どんなカタチにしたいのか、こんなことを考えながら秋の本展を目指すことになりそうです。

5月の展示「風の予感」では、それを予感できるようなモノを展示できたら良いなと考えています。

今の段階では「作る」ほうをメインに。そして秋には「創る」ほうへと昇華させたいな、と。

手製本が趣味や特技でなく、しごとになるように。

「はん・ぶんこ」ノート

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前回の記事から3ヵ月以上経ってしまいました。

もう過ぎてしまいましたが、4月20日の雑司ヶ谷鬼子母神の手創り市、この日は出展しませんでした。

選考に通らなかったわけではなく、単に申し込みを忘れただけです。小さな本工房を訪ねてこられた方がいらっしゃるかどうかは分かりませんが、事前にお知らせもできず、大変失礼致しました。

それから今度の日曜日、千駄木の養源寺での&SCENE手創り市も出展しません。都合がつけばお客さんとして遊びに行きたいところですが、どうなることやら。

さらに残念なことに、5月の雑司ヶ谷鬼子母神の手創り市は土曜日開催ということで、こちらも出展が叶いません。

その代わり、といっては何ですが、5月にほかの作家さんと一緒に展示をする場を設けていただきました。こちらです。

いま、そのために展示物を準備しているところ。

note.jpg数年前に買った100種類の紙の見本帳のようなモノがあったので、それで糸かがりの「はん・ぶんこ」ノートを仕立ててみました。

100種類と言っても、表紙として扱いにくいモノや紙らしくないモノもあるので、実際は85種類。

先日ようやく「かがり」作業を終えました。

紙の色も質感も全部違っていて、ちょっと珍しい加工を施してあるものもあるので、並べてみると、見た目は壮観です。そう、見た目は・・・・・・

note2.jpgなにも書かれていないただのノートを量産するのは、正直なところ「???」な部分もあるのですが、中身のある書物を量産したところで、それが注目されるかどうかというのもまたギモンであるわけで、あれこれ悩むところです。

手創り市でもそうですが、その場で書物を売ろうなんてことはそんなに考えていません。そもそも売れるとも思えない。

見せ方、売り方を工夫すればもっと売れるのに、なんてほかの作家さんからアドバイスを頂くのですが、こういったことはあまり得意ではないというのか。

だとしたら、なぜ毎月手創り市に出展しているのだろう、って不思議に思うのですが、そういったスタイルもアリかな、って。少なくても、本やノートだって手作りできるってことを知ってもらう機会にはなるから。

「売ること」と「作ること」、どちらがメインなのかって考えたら、やっぱり作ることが重要なんだと。だから「売るために作る」という発想にはならない。

そもそもの始まりが、自分が欲しいモノを作るってところにあったわけだから、当然と言えば当然のこと。だから、それが商品という意識は全くない。

これを作って一儲けなんて発想だったら、絶対に割に合わない。そもそもモノには相場ってものがあって、ノート一冊に何千円も払うなんて考えられない。そんなに高級なモノだったら、私は使えないし。

材料費なんてそんなに高いものでもないけれど、手間はそれなりにかかっているのだから、その値段だと。でも、その手間に意味があるのかどうか・・・・・・

なのに、なぜこんなに作るのか?

モノ作りなんて、案外そんなモノなのかもしれない。

日々自問自答しながら手を動かす。手仕事ってのは刃物を使うときは集中しなければならないけれども、紙を折ったり、糸でかがったり、のり付けするときは案外考え事をしながらでもできてしまう。そんなときに、あれこれ考えたこと、愚問愚答がいつかどこかで一つのカタチになったりするから不思議。

先月の手創り市で立ち寄ってくださったお客さまが、小さな本工房の仕事を理解し、実際に使える豆本に驚いたとコメントを送ってくださいました。

そう、ただ小さいとか、かわいいとかというような本を作りたいわけではない。大きさにしろ、造本にしろ、自分の中ではルールというのか、基準のようなモノがあって、それに従ってカタチにしている。

それは「はん・ぶんこ」というサイズでもあり、また使い勝手を重視した糸かがり製本でもある。背表紙がない、一見不完全にも見えるこのカタチが、案外使い勝手が良かったりする。

そもそも、手製本が機械製本と同じものを目指したって意味がないし、手製本イコール上製本という認識もない。花布を編んで、革で装幀して、箔押しもして、そんな上等なモノを作ろうなんて気持ちはさらさら無い。

むしろ、その逆のモノ作りのカタチというのか、気軽に使えるもの。消耗品とは呼びたくないけれども、日常の使用に耐えるものであれば良いな、と。

本当なら中身が印刷された書物をご覧頂くのがいちばん良いのでしょうが、中身の良し悪しよりも、カタチとしての手製本に触れていただくためには、やっぱりノートになってしまう。使い勝手は実際に使ってみて感じていただくよりほかない。

そんなわけで、書物のほかにノートを準備することにしたわけです。

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