2013年6月アーカイブ

「指南」ができるまで

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先日の&SCENE手創り市でのワークショップ、無事に(!?)終えることができました。

当初2時間程度を予定していたのですが、あれこれ盛りだくさんにしてしまい、結局午前の部も午後の部も3時間。WS担当のスタッフの方をハラハラさせてしまいました。参加されたお客さんも長時間の作業でお疲れだったと思います。
最初の計画では、ただ1冊のノートを作るという内容でした。

それだけだったら2時間もあれば十分、と考えたのですが・・・・・・

手製本は初めて、という人にいきなり作品を作りましょう、とはちょっとハードルが高すぎかな、と。

また、せっかくワークショップに参加してくださった方には充実感、達成感を味わって頂きたいし、作った作品に対して満足感が残るようなものであってほしいと考えました。

まず考えたのは、手順を示したガイドを配ること。口頭で「この場所から針を入れてここから出る」とか、言葉で説明してもなかなか伝わるものではありません。

だったらマニュアルのようなものを見ながら、言葉で補っていく方が簡単かなと。

で、マニュアルを作り始めたのですが、「一折目の右の穴から入って、左の端から出る」みたいなことを書き始めると、自分でも何が何だか分からなくなってしまいました(普段はこんなことをいちいち考えませんからね)。

だったら、穴の位置に記号をつければいいのでは、と思い立ち、1Aだの2Aだのと穴の位置に印をつけました(同じ穴でも折丁の外側はabcdと小文字で、内側はABCDと大文字にしたのですが、同じでもよかったかなと・・・)。

これで、手順を説明したチャートにしたがって糸を通して、かがっていけば一冊の本になる練習用の冊子を作りました。「糸かがり製本指南」にある写真はその段階で作った試作品です。この写真は&SCENE手創り市のスタッフの方が撮ってくださったものです(作業中は両手がふさがっていて、自分で撮ることができませんからね)。

この作業手順は、経本折りのマニュアルにしようと考えていました。普通の書物だと見開き2ページしか一度に見ることができませんが、蛇腹折にすれば一枚の長いシートになり、必要な部分を広げてみることができるので、その方が勝手が良いかなと。

ただ、そうすると、マニュアルと練習用の冊子と二つ準備しなければなりません。それに、よくよく考えたら、糸かがり製本の練習用教材なのだから、それ自体が糸かがりのほうが意味がありそうです。

だったら一つにまとめてしまい、なおかつ糸でかがるのがいいのでは、と思い至りました。

そんなわけでひと月ぐらいかけて、指南書を作成しました。手順を細かく分けて、写真を加えて、かがり方の「記号」までつけて・・・

1枚の紙が16ページ分、一通りの手順を理解するためには4折必要と考え、無理やり64ページの冊子になるように内容を決めて、その説明が「ふさわしい場所(ページ)」に来るように調整して(気づいてくれる人はいるでしょうか?)。

当初は4折目(pp.49-64)にも記事が入る予定だったのですが、ワークショップ前夜まで作業していて間に合わなかったため、「メモ」のページになってしまいました。ちょっと残念。

この『指南』、何度も印刷して、自分でかがり作業をしながら手を加えていったので、手元に何冊も試作品が残ってしまいました。糸かがりで糊を使わないので、最終的には糸を切ってばらしてしまい、糊引きの時に使うための紙として再利用しています(紙が書物になり、必要がなくなればまた紙に戻す、これって大事なことだと思います。わたしが製本する上で大事にしているのがこの部分です)。

こうして出来上がった(完成したわけではなく、とにかく間に合わせただけの代物ですが)ものを当日の明け方に印刷して、折って、穴をあけて。人数分印刷していたら途中でプリンターのインクがなくなってしまい、2台目のプリンターに助けられました。

ワークショップでは表紙を厚紙に貼る作業をした後、実際に作品にとりかかる前にこの練習用の冊子をかがることから始めました。それぞれの穴に記号(番号)があったので、口頭で説明するには都合がよかったと思います。でも、やっぱり口頭で説明するのは難しいですね・・・

冊子をかがり終えて、袋状になっている部分をナイフで切ると普通の本のように開くようになります。書物がこんな風に作られるのだということを知ってもらうための「演出」でもあります(私がつくる「はん・ぶんこ」の本でも、小口をわざとカットせずに製本したものがあります。これはペーパーナイフで切りながらよむという演出のためであり、「失敗作」ではありません)。

練習をしてから作品に取り掛かるのですが、その前に実演をすることにしました。

一度練習したとは言え、2作目が「作品」になるわけで、まだまだ不安が残るはず。なので、再度作業手順を確認し、それから糸の引き具合について実際に見ていただいた方が良いだろうとの判断。これも直前に思いついたことです。

そのあとで参加者が製本を始めました。最初のうちはあちこちから質問や確認のため手が挙がったのですが、そのうち集中モードに。黙々と作業を始めます。

手順がわかってしまえば、あとは単純な繰り返し、この「わかる」部分までたどり着けばWSは成功。作業時間にばらつきはあるものの、参加者全員が完成させることができました。

『指南』と実演がどの程度役に立ったかはわかりませんが、あとで何らかの参考にでもなれば嬉しいなと思います。

この練習用冊子は&SCENE手創り市のワークショップ限定で製作したものなので、ひとまずこれ以上は手を加えることなく、また増刷の予定もありませんが、「手順」の部分は後日サイトでもご案内します。

&SCENEワークショップ

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今さら、ほんとに今さらですが、今日、千駄木の養源寺で開催される&SCENE手創り市でワークショップを行います。

わたしのじゆうちょう

今回、単なる製本の体験だけでなく、表紙を4名の作家さんの作品から選び、糸かがりのノートを作ります。

中紙は書籍用紙、カラー模造紙、NTラシャの三種類。ノート、スクラップブック、スケッチブックとしてお使いいただけます。

かがり糸は草木染の木綿糸、藍、茜、山桃、紫香の4色を用意しました。表紙にあわせて、糸の色も選択できます。

本文は5折80ページ(NTラシャのみ60ページ)で、表紙を含め一本の糸だけでかがる様式、特別な道具を必要としないため、やり方を覚えれば自力で製本することができるようになります。

糸かがりは初めてという方でも満足できる作品にできるよう、先に手順を確認するための練習をします。16ページ×4折で64ページの小冊子。この4折分の手順が分かれば、あとは同じことの繰り返しです。

ボール紙の芯材に表紙(作家さんの作品が楽しみです!)を貼り付け作業をした後で、かがりの練習をします。この練習で手順を理解してから、一度実演を行う予定です。

練習でどこが難しいか、なにがわかりにくかったのか、それぞれ疑問点があるかと思いますので、それを確認していただくことができるはず。

練習の前に実演をするのではなく、一度やってみてからの方が、「なにが難しいか」がわかるので、それなりに意味があるのではないかと思います。

手順そのものは難しくはないのですが、糸の引き加減については、難しさを感じるかもしれません。この点に関しては実際にやってみてからの方が説明しやすいのではないかと思います。

製本様式は、背がむき出しのため、どのページも平らに開くので、ノート、スクラップブック、スケッチブックなど、どんな用途であっても使い勝手が良いはずです。

作っておしまい、ではなく、作ってから「使う」ことができる「じゆうちょう」、どんな作品に出会えるか楽しみです。

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