古書+香草

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先日の鬼子母神手創り市、当日の朝にカタチになったものがあります。

だいぶ前から思い描いていたもの、そしてちょっと前に簡単な試作品を作り、それを応用したものです。

lavender1.jpg洋古書の画像データを台紙に貼り、そこにドライのラベンダーを糸でとめてみました。

デジタル化された洋古書の画像データをつかって、小さな本に仕立てる「アナログ化」をしているのですが、本の形に戻すだけでなく、データそのものを別の形にできないか、そんな思いつきから。

本物の本が手元にあるのですが、さすがにそれを切ってしまうわけにもいきません。

コピー、スキャンするにしても、むりやり押さえつけたら本が傷んでしまう恐れがあるので、だったらデジタル化されたものをお借りして......

台紙に貼るのは手製本で表紙を作るときと同じ手順、難しいことはありません。

その上に昨年収穫したラベンダーを糸でとめます。1年も経っているので花の色はグレーっぽくなってしまいましたが、古書とのバランスの点ではかえっていい感じです。刺繍糸でとめる作業をしているときに花がちょっとこぼれてしまい、そのたびに香りがたっていい感じです。

押し花として作ったものではないので、立体的で、これもまたいい雰囲気。立体的なフレームに納めたら素敵な作品になりそうです。

手元にある本、Richard Jefferies というイギリスの文筆家の作品。

タイトルは "Amaryllis at the Fair" 1887年の本です。

20年ぐらい前、岩波文庫の『野外にて』という本に出会い、それがきっかけでJefferies の自然随想に関する書物を集めました。

自然を言葉でスケッチしたような文章がたくさんあり、いつか言葉によるスケッチブック風の本を作ってみたいなと考えていました。

この本はエッセイではなく小説ですが、このページには8回も "lavender" が出てきます。なので昔読んだ時に付箋をつけてあったのです。

lavender2.jpgこの写真は、手元にある原書、そして試験管に入ったドライのラベンダーです(本当は試験管ではなく紅茶が入っていた瓶です)。

古書と香草の組み合わせっていいなぁ、と、ずっと前から思っていました。そして、それがいい感じで結びつけられないかと考えていたのですが、ふとしたことで形になったわけです。

大学では語学を専攻していました。卒業後ハーブに夢中になり、その後手製本を始めて。それぞれ全く関係がなかったものが、あるときひょんなことから結びついてなにか新しい作品が生まれる、こういうのって楽しいですね。

ちなみに大学で専攻していた外国語とハーブとはほとんど関係がありませんし、いまは全く使うこともありません。卒業してからハーブのために(資料を読むために)他の外国語の勉強をしています。

古い植物図鑑(19世紀のものです)や植物民俗誌に関する洋古書、これもちょっとしたコレクションですが、実際に読む時間も、それ以上に読む能力も足りなくて、いまは書棚のインテリア。古書が似合う古風な書棚が欲しいけれど、事務用のガラス戸つきのスチール棚に収まっています。

19世紀の終わりごろに出版されたイギリスやドイツの植物民俗誌に関する書物です。

文学作品の中に出てくる植物(とくに香草類)をあつめて、スクラップブックあるいはスケッチブックを作ってみたいと、ずっと前から考えていました。もちろん、そのためには作品を読んで、探し出すことから始めなければならないのですが、能力的に無理があるので、最初に書いたJefferiesのネイチャーエッセイの中から拾い出してみようかと。

それで、最初の写真の作品が出来上がりました。

このページのテキストを Project Gutenberg のサイトから借りてきました。

Another time there would come a letter from one of the Flammas in London. Could they spare a little bag of lavender?--they grew such lovely sweet lavender at Coombe Oaks. Then you might see Mr. and Mrs. Iden cooing and billing, soft as turtle-doves, and fraternising in the garden over the lavender hedge. Here was another side, you see, to the story.

Mrs. Iden was very fond of lavender, the scent, and the plant in every form. She kept little bags of it in all her drawers, and everything at Coombe Oaks upstairs in the bedrooms had a faint, delicious lavender perfume. There is nothing else that smells so sweet and clean and dry. You cannot imagine a damp sheet smelling of lavender.

Iden himself liked lavender, and used to rub it between his finger and thumb in the garden, as he did, too, with the black-currant leaves and walnut-leaves, if he fancied anything he had touched might have left an unpleasant odour adhering to his skin. He said it cleaned his hands as much as washing them.

Iden liked Mrs. Iden to like lavender because his mother had been so fond of it, and all the sixteen carved oak-presses which had been so familiar to him in boyhood were full of a thick atmosphere of the plant.

Long since, while yet the honeymoon bouquet remained in the wine of life, Iden had set a hedge of lavender to please his wife. It was so carefully chosen, and set, and watched, that it grew to be the finest lavender in all the country. People used to come for it from round about, quite certain of a favourable reception, for there was nothing so sure to bring peace at Coombe Oaks as a mention of lavender.


デジタルデータがあると、テキストの中から特定の語を探すのがラクですねぇ......昔は書物を読みながら用例を拾い集めてカードを作るという作業をしていたのが、いまではこんなことはあっという間。確かに便利な世の中です。

いや、便利であっても、探す愉しみというのは取っておきたい気もします。そんなわけで、少しずつですが「古書+香草」でなにかを作っていく予定でいます。

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