2013年2月アーカイブ

手製本である理由(2)

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先週の日曜日は雑司ヶ谷鬼子母神の手創り市、そして昨日は千駄木養源寺での&SCENE手創り市でした。雨や雪は降らなかったものの、どちらも風が強くて、紙もの系の出展者はみんな苦労していたようです。寒い中お越しいただいたお客さま、ありがとうございました。

ツイッターやブログをチェックしてお越しになったというお客さまが何名かいらっしゃいました。ブログの更新が進まないため、サイドバーにツイッターを表示されるようにして、ちょこちょこつぶやいたりリツイートしたりしているのですが、たまにはキチンと書かないといけませんね。

記事を丁寧に読んでくださっている方がいらっしゃったのには本当に驚きでした。なにかテーマがあって、それについて述べているというよりも、思い浮かぶま書いているだけなのですが、こんな文章でも分かりやすいと評価してくださったり、記事にあった作品を実際に見てみたいとおっしゃっていただいたりで、嬉しいやら恥ずかしいやら。

初めてお会いしたお客さまから、予想と違ったと言われたりすることもしばしばです。たまにご案内する手製本の写真などから、女性の作家のように思われることもあったようで、あれっ?という反応をされることもあります。また、思ったよりも若いのですね?とか。つまりは年配に思われているってことなんですね・・・

確かに、ブログの中では作家本人(私のこと)についてはあまり書いていません。どちらかというと、作家については「ミステリアス度」が高い方が面白いと思うのです。ずっと昔ですが、実際には一度も会ったことがないのに、メールのやりとりを続けた人がいて、私が古書の話とか、ハーブのことをあれこれ書いていたため、割と年配の女性のように思われていた、ということが何度かありました(一度だけ、一人だけではないという意味です、つまりは)。

実際にマーケットにお越しになって、話をしてみたら、あれっ?ってことは確かにあるかもしれませんが、それも一緒に楽しむつもりでご覧頂けるとありがたいです。

さて、最近思っていることのあれこれをちょっと。

タイトルの「手製本である理由」ですが、同じ記事を昨年末に書いているので、その続きのようなものです。

手創り市にはいろいろなジャンルのハンドメイド作品が並んでいます。

手創り市に集まる作家が共同生活を始めたら、それこそ自給自足できてしまうのではないかと思えるくらいです。家電の類は別として、ひとつの生活空間に必要なものは揃えられるかもしれません。食器類、家具、衣類、癒しのための様々なアイテム、装飾品等々、身の回りのものはたいてい手づくりできると考えていいかもしれません。

そんな中で、書物だって実は手づくりできるんですよ、ということをご案内するのがマーケット出展の目的と考えています。

本当は、作った本を「売る」場でもあるのでしょうが、実際はそんなにたくさん売れるわけでもないし、だから少しは負け惜しみみたいな部分もあるのですが、でも、やっぱり、売れなくても知ってもらえたらうれしいというのが大きいから続けてこられたのだと考えています。

手創り市のなかで、手製本や豆本の出展者はほとんどいないので、珍しがってもらえるのもありがたいこと。豆本のイベントでは、出展者がみんな豆本作家なわけで、その中で「小さな本工房」ならではのものをご案内できるかどうかはまだまだ自信がありません。

正直なはなし、私自身が「豆本作家」だとは考えていませんし。

豆本を作る人は案外たくさんいます。その多くは、コンテンツもオリジナルで製本もするといったタイプの、文字通りの「豆本作家」です。

一方、私はコンテンツに関してはほとんど興味なし。自分で文章を書いたり、イラストを描いたり、写真を撮ったり、あるいは造形物としての作品を作り出す創作系には興味がないというか、そういった才能があるとは思えません。それに、作っているものも、「豆本」と呼べるような小さなものもあるけれど、本当は「はん・ぶんこ」サイズを普及させたいという気持ちの方が大きいので、別に「豆本」作家である必要もないのです。

だから、内容よりも「カタチ」の方を大事にしたいなと。なんだったら創作系の作家さんとコラボしてしまうのが手っ取り早いし、それぞれの役割を果たせる、これこそ理想のカタチではないかと思うのです。

昨日の「&SCENE手創り市」で、ちょっとしたコラボ作品を配布していただきました。

お堂ライブのために書いたという超短編に「はん・ぶんこ」という言葉が出てくるというので、お節介にも、だったら「はん・ぶんこ」の本にして、会場で配りましょう、と申し出てしまいました。せっかくなので、「はん・ぶんこ」のために描いてくださった「くうそうせかい」のはしながさんの飾り枠を使わせていただいて、私は本文のレイアウトと製本を引き受けることに。

表紙を含めて16ページの小さな本ですが、手創り市という「場」にピッタリの配布物になったのではないかと思います。部数限定ということもあり、きわめてシンプルなものですが、糸でかがってあるだけでも手作り感は出せたと思います。

「手製本」といっても、いろいろあっていいはず。花布を編んだり革や高価なマーブル紙で装幀したり、箔押しをしたりといった美術工芸品のような「一点もの」もすてきですが、あまり立派すぎて使えないようなものを目指す気にはなれません。

そもそも私が製本を始めたのも、コピー資料がそのままでは使いにくいから、とか、大きな本を持ち歩きたくないから小さくしてしまった、とかそんな理由からだったので、「使い物にならない」ようなものは、わざわざ作る意味がない、と思っています。

むしろ、地味だけど、あまりにも普通すぎて、というくらいの本。

ページ数が多いとか少ないとかではなく、気軽に手に取って、好きな時に広げて読むことができるような、日常の風景になじむような書物。こうしたものをご案内できればいいな、と思っています。

そして、創作系の作家さんのお手伝いができたらたのしいだろうな、とひそかに思っています。

工房通信(2月)

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昨日、今日は暖かい春のような陽気です。こんなに天気がいいのに外に出られないのはちょっと悔しいですが、マーケットに向けて準備を進めています。

そんなわけで、まずはマーケット出展のご案内です。

2月11日(月・祝日) アークヒルズMOTTAINAIてづくり市
2月17日(日) 雑司ヶ谷鬼子母神手創り市
2月24日(日) 千駄木養源寺&SCENE手創り市
「はん・ぶんこ」のさらに半分の洋古書ミニチュア本、2月は "Mother Goose's Teddy Bears"、"Fairy's Album"、そして、Walter Crane の "Floral Fantasy"の3点を準備中です。毎月種類を増やして行く予定です。こちらは雑貨扱いで、実用的とは言いがたいものですが、挿絵を楽しんでいただけるようなものを中心に選定しています。
目下試作中ですが、新しいものを何点か準備中です。

まずは「ノートのような本のような・・・」もの。文庫本サイズで、ページの片隅にテキストや挿絵が印刷されただけのシンプルな本です。オリジナルの洋書をそのままのレイアウトで印刷するのではなく、片隅にワンポイント的にあしらい、大部分のスペースは書き込みができるノートとして使えるようになっています。

普通に白紙や罫線、ドットが印刷されたノートならばわざわざ作る必要もないでしょうけど、中身が各ページに違ったイラストがあるのであれば、それなりに楽しんでいただけるのではないかと思います。

もともと『英訳小倉百人一首』のノートを作ったのが始まりでした。お客様からの提案もあり、洋古書のイメージで使える本を作ってみることになりました。

表紙はオリジナルの本のデザインをそのままに、中身は縮小して、あるいはページの一部をトリミングして、スクラップブック風にしてみたり。少し遊び心も取り入れてみます。

写真はマザーグースのシルエット絵本です。ページの1/6ぐらいのスペースにテキストとシルエットの挿絵が配置されています。テキストはオリジナルの画像をそのまま使っていますが、タイプしてフォントや色を変えてみるのもアリかもしれません。

封筒を綴じたノートです。小さな本工房では封筒やポチ袋などの紙もの雑貨も作っています。これを綴じたらどうなるか、以前からやってみたかったことのひとつです。

最初から封筒として組み立てられた(糊付けされたもの)ではなく、直接糸でかがってから糊付けして封筒が綴じられたようにします。

写真は試作の途中段階で、封筒部分の糊付けをする前の状態です。10色の色違い模造紙を綴じてみました。文庫本サイズよりも若干大きめ、洋2型の封筒をベースにしているので、はがきを収納することもできますし、ちょっとした書類やカードを入れるフォルダーとしても使えると思います。

トレーシングペーパーやロウ引きした紙を綴じるのも面白いかもしれません。試作品は封筒の底の部分を綴じてあり、小口の部分が開くようになっていますが、開け口を天にした方がスマートかもしれませんし、あるいはポケット状にしてしまった方が使い勝手がいいかもしれません。マーケットで反応をみながら改良していきたいと考えています。

封筒のポケットブックのほかに、文庫本サイズのスクラップブックを準備中です。市販されているものはA4サイズやB5サイズといった大きめのものが多いのですが、文庫本サイズぐらいのものがあったら面白いだろうと。

手創り市などでお気に入りの作家さんの名刺やカードを集めて、それを整理するためのノートが欲しい、そんな発想から生まれました。せっかくカードをもらってきても、整理するものがないと紛失してしまったり、ばらばらになってしまいますが、一冊にまとめてあったら便利かなって思います。普通のノートや手帳に貼りつけてもいいのですが、そうするとカードの厚み分だけ膨らんでしまうので、貼った時にちょうどいいくらいになるようにします。糸でかがるので、どのページもフラットに開き、書き込みもしやすいです。

カードや名刺を貼りつけるほかに、押し花や押し葉を貼って、手作りの図鑑にすることもできますし。外国の本で、「木の葉帳」(勝手にそう訳しましたが)というものがあります。ただ、A4サイズぐらいで結構大きい、なので気軽に持ち運びできるようなものではありません。でも、文庫本サイズぐらいだったら面白いかなと思います。「木の葉帳」にならって「香草帳」を作る計画も昔からありました。本物のハーブを貼った押花帳というか標本図鑑のようなものです。キチンとした植物図鑑というよりも、民俗誌的な記事を集めたものにする予定です。園芸帳や料理やアロマのレシピ帳なども面白そうです。

和暦や旧暦の本が人気のようです。季節の言葉を集めた本がいろいろと書店に並んでいますね。こういうのを糸かがりの本ではなく、経本折りで仕立てたら面白いかもしれません。普通の本だと見開き2ページ分しか一度に見ることができませんが、じゃばら折りだと数ページ(数面)を一度に眺められます。巻物のように緩やかに変化していくような流れを感じられる本。手帳のような本にするのもアリです。

手帳ではありませんが、天候暦や農事暦をまとめたいなと考えています。ことわざや言い伝えを集めたもので、日にちごとに整理するとか、野菜や果物に関することわざ、表現をまとめるとか。ヨーロッパの資料が何点かあるので、それをスクラップブック風に、あるいは手帳風にまとめたものを準備中です。

写真は"A Handbook of Weather Folk-lore"という1873年の本です。下にあるのが手元にあるオリジナル本、左にあるのはデジタル化されたデータをもとに「はん・ぶんこ」に仕立てた手製本です。

手元にオリジナルの本があるのに、わざわざ作る必要があるのか疑問ですが、140年も前の本で、傷んできているので、気軽に持ち運ぶことはできませんし、書き込みをする勇気もありません。なので、作業用として一冊コピー本を作ったわけです。

このサイズならばポケットにも入るので気軽に持ち出せますし、サイズは使い勝手重視の「はん・ぶんこ」、それに糸かがりで背表紙がないので、どのページも平らに開きますから使い心地も抜群。この二つの理由からみても無駄な作業ではないと思います。

デジタルデータを紙の本に戻す(製本する)サービスがあるようです。試したことがないのでわかりませんが、たぶん無線綴じでしょうから開きやすさ、使い勝手に関しては糸かがりには劣るのではないかと思います。

多少手間がかかっても、それだけの理由があるならば決して無駄ではないと思います。そう考えないとやってられないっていうところもあります。まずは自分が欲しいもの、いいなと思ったものをご案内できるようにしていきます。

マーケットは手製本を売るための場というよりは、手製本をご案内する、あるいは新しいカタチを作り出すためのきっかけの場として考えています。

マーケットにお越しの際はぜひ声をかけてください。商品のほかにたくさんの試作品、自分のための作業用の本やノートが無造作に並んでいます。そこに面白いものが隠れているかもしれません。

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