2012年8月アーカイブ

手創り市にて

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今日は雑司ヶ谷鬼子母神の手創り市でした。

先月の手創り市で写真部の方が写真を撮ってくださいました、その中から何枚かを頂きましたのでご紹介します。

この記事にある写真は、手創り市写真部の新津さんが7月に撮影したものです。

小さな本工房のスペースはさほど大きくないテーブルひとつ分です。このテーブルの上に小さな本棚が一つか二つ。このときは二段分の書棚が一つだけでした。

下の段には「はん・ぶんこ」サイズの試作品が並んでいます。

上の段にはさらに小さい本が何冊か。『百人一首暗記帳』はタイトルがあるので、ちょっとだけ目立ちます。

洋古書ミニチュア化プロジェクトの一部。ネット上で公開されている著作権が切れた絵本などを、「紙の本」に戻す、しかも手のひらサイズの小さな本にしてしまおうという試みです。

電子書籍とは言え、もともとが本であったからには、やっぱり書物の形で手にとって眺めたいもの。A4用紙に印刷したサムネイルと、実際に小さな本に仕立てたサンプル本です。

対訳小倉百人一首豆本を並べているところです。全部で14冊、英訳が7点、独訳が3点、仏訳、露訳、中訳、韓訳がそれぞれ1点です。

お客さんの希望で、「せをはやみ」の訳を読み比べるために並べてみました。好きな歌がどのように訳されたかをみることができます。

訳によってイメージが違うのも不思議です。

どの本も「せをはやみ」のページを開いています。手前の本はフランス語訳です。

ハンドメイドマーケットでこんな光景があるなんて、誰も想像していないでしょうね。でも、こういうのが隠れているのが手創り市の魅力。

もともと本そのものが目立たないように並んでいますし、タイトルが見えないものも多いため、どんな本があるかに気づかずに通り過ぎていくお客さんがほとんどだと思います。

逆に言えば、立ち止まったお客さんだけがどんな本があるかをご覧になる。大袈裟な言い方をすれば、偶然の出会いといったところです。

本当なら、もっと気づいてもらえるようなディスプレイを考えなければならないのでしょうが、今のところはさほど目立った展示ができているわけではありません。

今後は見せる物だけでなく、見せ方についても、もっと工夫していくつもりです。

工房通信(8月)

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先日、代々木八幡のてづくり市でのこと。

いつものことながら、商品の準備が追いつかず、従って商売っ気は全くなし。

ほかの作家さんからは「(モノは売れるだけの価値があるのだから)見せ方を工夫すればもっと売れるのに」とアドバイスを頂きました。そう、それは分かっているんですがねぇ・・・・・・なかなか。

ときどき自分の店をほったらかしにして、ほかの出展者さんの店を見て廻っています。作品を見せてもらいながら、モノ作りに対する想いを伺ったり、展示の仕方を観察したりと、いろいろ学ぶことがあります。もちろん、逆の立場もあるわけで、そのときは熱く語ってしまうこともあるのですが。

鬼子母神でも代々木八幡でも、手製本の出展者はほとんどいないので、珍しがってもらえるのはありがたいことです。だったら尚更、「見せ方」を工夫して売り上げアップを目指さなければ、って思うのですが、さて、どうしたものか。

豆本用の書架にただ並べて置いても面白味がないのは分かっています。それに『百人一首暗記帳』は別として、ほとんどがサンプルなので、背を見ただけではなんの本かも分からない(自分でもどれがなんの本だったか分からないくらいです)。

たまたまカバーに手書きで書いてある『フランス語動詞活用便覧』だけが異常に注目される、これはちょっとおもしろい現象です。狙ったわけではないのですが、ほかのは何の本なのかも分からないけれど、この本だけは分かる。なので手にとってもらえる。そしてそこから話が展開する。

テーブルの上に置かれた本にしても、表紙にタイトルがないので、見ただけではなんの本かも分からないし、これでは書物として「不完全」としか言いようがありません。

この不完全、未完成であることも、ひとつの演出ではあるのですが、いちいち説明しないと分かってもらうのは難しいでしょうね。これについてはまた別の機会にでも。
さて、この小さなスペースに「雑然と」並べられた本に、注目し立ち止まってくださるお客さんがときどきいらっしゃいます。本そのものに興味がある方、飾ってある「豆かるた」に興味がある方、たまたま人だかりができていたので側から眺めている方、さまざまです。

誰かお客さんと話していると、周りに人が集まってくる、そしてお客さんがいないと、他の人も素通りしてしまう、不思議な現象ですね。あるお客さんが、百人一首豆本、かるたに目をとめて立ち止まってくださいました。そこで「対訳百人一首豆本」(14冊)をお見せしたところ、いろいろな翻訳があることに驚かれた様子で、テーブルに並べて見比べていました。

ハンドメイドマーケットで百人一首の翻訳を読み比べるなんて、まぁ、たいていの人は予想していないでしょうから、たいそう驚かれたようで、「あなたの店が一番素敵だわ」なんておっしゃって頂き、さらには「サクラを演じようかしら」だなんて冗談まで。

これって出展者としては最高に嬉しい一言です。以前お会いしたほかのお客さんからも、「こんど私がサクラになる」っておっしゃって頂きました。こちらとしても謝礼を払ってでもお願いしたいくらいなのですが、こういったお客さんと出会えるところに、不思議な縁を感じます。(小さな本工房に人だかりができても、こちらがお願いしたサクラではありません、念のため・・・)

また、別のお客さんからは、「(手製本をつくることを)やめないで続けなさい」とアドバイスを頂戴しました。どんな流れだったか忘れてしまいましたが、手作りだからといってやたら値段を高くするわけにもいかず、手間暇考えたら馬鹿馬鹿しいくらい、というようなことを言った後だったと思います。さらに「これは技術なのだから」という一言、「技術」として認めてくださったことがモノ作りの作り手にとっては最高の賛辞です。

前のマーケットでお会いした方は、私が『百人一首暗記帳』についてお客さんに、「この本は作る手間を考えたら馬鹿馬鹿しいくらいの時給になってしまうけれど、小学生の子供が欲しいと言ってくれるので、高く売るわけにはいかない・・・」と話しているのを側で聞いていて、製本を依頼してくださいました。

モノが売れるかどうかは二の次、手製本を理解し、評価し、激励してくださるお客さんと出会えただけでも十分にモトは取れてると思います。こうしたお客さんから注文を頂戴し、また新たな繋がりができていくわけで、宣伝広告費と考えても安いものだと、しみじみ。

そういえば、先月の鬼子母神手創り市で「対訳百人一首豆本」をテーブルのうえに並べて読み比べていたお客さんが、やはりモノ作りの作家さんだったと知りびっくり。5月のてづくり市で素敵な作品だなと思ってみていたのですが、今回終了間際に伺ったところ、鬼子母神で話をしていたとのこと。どこでどんなお客さんに会うのか、これもまた不思議なご縁です。

手製本のオーダーをくださった方が、実はモノ作りをしているというのはこれまでも何人かいらっしゃいました。作り手だからこそ分かるものがあるのかも知れません。

マーケットで小さな本工房を見かけたら、ぜひ立ち止まってなにか手にとってみてください。ちょっとしたサプライズがあるかも知れません。

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