「語学系」豆本のこと(2)

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タイトルに(2)とあるのは、今年の1月に「語学系」豆本について書いたから。

そのときも書きましたが、小さな本工房の原点は語学系豆本でした。

混雑した電車の中や外出先で読むことができるようなもの、持ち歩くのにも邪魔にならないようなもの、ちょっとした空き時間に参照できるものがあったらいいな、という思いから小さな本を作ることを始めたようなものです。

それは単語帳であったり、暗記用の例文集であったり、動詞活用表、漢字便覧であったり。でも、これだけだったら市販のものを買って持ち歩けばすむ話、わざわざ自分で本に仕立てる必要はなさそうです。

では、それでも本を手作りする理由は?

小さな本工房の標準規格はA7 判の「はん・ぶんこ」サイズです。A4用紙の1/8サイズで、葉書や文庫本の半分の大きさです。実際に使って見ると、大きすぎず小さすぎず、ちょうど良い大きさです。少なくても私にはそう思えます。

A4用紙に両面印刷すると、1枚の紙が16ページの冊子になります。ちょっとしたエッセイなどであれば、1枚で十分に収まります。同じ分量をA4用紙に「普通に」印刷しても、混雑した場所では結構邪魔になってしまいますが、冊子にすればコンパクトに収まります。文庫本よりも小さいので、ポケットにもすっぽり入るし、ノートや手帳に挟んで持ち歩くこともできます。

本のサイズが小さくても、文字の大きさは一般の書籍と変わらないので、決して読みにくいわけではありません。ものによっては一般の文庫本よりもゆったりと組んであるので、窮屈さを感じることはないはずです。

串田孫一さんの「雑木林のモーツァルト」は造本はシンプルですが、本文は読みやすいように組んであります。「読むための本」であるためには、本文を犠牲にしてまで小さくしたり奇抜な造本にする理由はないように思えるのです。

外国語のテキストも同じように「はん・ぶんこ」の本に仕立てます。ネット上で見つけた電子テキストをテンプレートに流し込み、体裁を整えるための処理を行えば、それなりに読みやすい冊子にすることができます。どうせ線を引いたり書き込んだりするのだから、ノートに書き写したと思えば本にする手間もそれほどではありません。むしろ書き写すよりは手間がかかっていないはずです。

本のサイズの他に、製本の仕方(とじ方)も市販の本と違っています。

小さな本工房がつくるのは、鑑賞用の本というよりは、日常的に持ち歩き、内容を確認したり書き込んだりすることができるものです。完成された書物というよりは、作業用のノートに近いかも知れません。

なので、立派な装幀である必要はないのです。書き込み作業のことを考えたら、ハードカバーである必要もないし、むしろどのページも平らに開くことの方が重要です。この場合は一本の糸だけでかがり製本します。表紙もちょっと厚めの紙を折っただけのシンプルなものです。でも、これで十分なのです。

目下制作中の本も、第一段階として一定の枠組だけを印刷して製本したものに、萬年筆で書き込む作業をしています。大きさが「はん・ぶんこ」ですから、もともと書き込めるスペースだって広いわけではありません。これで十分に開かないようでは、使い勝手が良いとは言えません。また、ただ順番に書き込むというよりも、あちこちのページを参照する必要があるので、ページのめくりやすさも作業効率に影響します。この点に関しては、市販の糊で製本されたものよりもずっと使い勝手が良いと自負しています。

第一段階の作業を終えたら、実際にPCで入力作業をするわけですが、最初からデジタル作業をするのではなく、アナログである程度のことをした上で行うのは、全体像を把握するという意味でも大事な事のように思えます。最初からPCで作業をするのは、効率的であるように見えて、案外落とし穴があるような気がするのです。

「はん・ぶんこ」で「糸かがり製本」であること。これが市販の本にはない特徴といえそうです。

そして、それに見合った内容があること、これが本を手作りする理由なのかなと思います。

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