2012年6月アーカイブ

「語学系」豆本のこと(3)

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前の記事は、タイトル「語学系豆本」のこととあるのに、その中身についてはあまり書きませんでした。

目下取り組んでいるのは、「フランス語動詞活用便覧」の新しい形です。書店や図書館には何冊もの「動詞活用表」が並んでいるし、わざわざ買わなくても、教科書に収録されていたり、辞書には必ず活用表がついています。

ある本にはこんなことが書いてありました。

フランス語の動詞の活用について、学習者のために、かずかずの著作――いわゆる「活用表」――が出版されています。学問的な精密なもの、活用形をなるべく多く網羅的に掲げたもの、活字をかえて見やすくしたもの、文法綱要をを付けたもの等々、種類も多様で、今また新しいものをつくることがどうしても必要かどうかはわかりません。

そう、何冊か見比べてみると、同じことを説明するのにもいろいろな見せ方があるものだと驚いてしまいました。

実際に活用表なるものを眺めてみると、見ただけでうんざりするようなものもあります。

これを全部覚えなければならないのか・・・と考えたら気が滅入りそうです。辞書や専門的な文法書であれば網羅することも必要でしょうが、学習者の立場、特に実際に覚えることを強いられる初級者の立場からみたら、やる気をそぐことにもなりかねない、と(私は)思ってしまいます。

要は、規則動詞のパターンがどうなっているのか、不規則動詞と呼ばれるものが、規則動詞とどこがどう違うのか、これさえきちんと区別できればいい、そうすれば、もっとすっきりするのではないか、と思うのです。

なので、実際に市販されている活用表を何冊か見比べて、できるだけシンプルなものができないかとちょっと作業をしてみることにしました。

どうしても覚えなければならない形に限定して、共通する部分はなるべくシンプルにする、違う部分を区別しやすくするために、書き込み用の「ノート」(枠組だけ印刷したもの)をつくり、それぞれの本の活用表を手書きで書き込んでみました。

あとは、パターンわけをどのようにするか(市販の活用表の違いはこの部分なので)を検討してみようと考えています。

作業用のノートなので、大きさも製本もいつもの通り、どのページも平らに開くので、書き込み作業がスムーズです。カード式にしてもいいのですが、冊子式になっていた方が散逸することもないのでちょうど良いかなと思います。(分類したり、並べ変えることを考えればカード式のほうがいいのですが、これは入力して印刷するときに片面のみ印刷して、切り分ければそのままカードとして使えます。)

愛用の萬年筆でひたすら書き写す作業(といっても全部ではありません)をして、使えそうであれば、そのままPCで入力します。デジタル化してしまえば、語幹と語尾を色分けするなど単純な作業も効率良く行えます。

このために、最初にスタイルを定義しておきます。そうすると、スタイルと文字列の組み合わせで、あとは正規表現をうまく使えば一気に検索&置換が完了です。

そんなわけで、目下数冊分の活用表を見比べながら、書き込み、入力作業をしています。これらは作業であって、勉強でも仕事でもないのですが、使い勝手の良い本がどんなものかを考える意味ではちょうど良い練習材料になりそうな気がします。

結局は、自分が欲しいと思ったものを、使い勝手が良いように作ってしまおうという発想から生まれたものなので、市販のものを参考にしつつも、自分仕様の本ができるのではないかと思います。

「使い勝手」と「使い心地」をどう追求するか、もう暫くやってみないとわかりません。

「語学系」豆本のこと(2)

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タイトルに(2)とあるのは、今年の1月に「語学系」豆本について書いたから。

そのときも書きましたが、小さな本工房の原点は語学系豆本でした。

混雑した電車の中や外出先で読むことができるようなもの、持ち歩くのにも邪魔にならないようなもの、ちょっとした空き時間に参照できるものがあったらいいな、という思いから小さな本を作ることを始めたようなものです。

それは単語帳であったり、暗記用の例文集であったり、動詞活用表、漢字便覧であったり。でも、これだけだったら市販のものを買って持ち歩けばすむ話、わざわざ自分で本に仕立てる必要はなさそうです。

では、それでも本を手作りする理由は?

小さな本工房の標準規格はA7 判の「はん・ぶんこ」サイズです。A4用紙の1/8サイズで、葉書や文庫本の半分の大きさです。実際に使って見ると、大きすぎず小さすぎず、ちょうど良い大きさです。少なくても私にはそう思えます。

A4用紙に両面印刷すると、1枚の紙が16ページの冊子になります。ちょっとしたエッセイなどであれば、1枚で十分に収まります。同じ分量をA4用紙に「普通に」印刷しても、混雑した場所では結構邪魔になってしまいますが、冊子にすればコンパクトに収まります。文庫本よりも小さいので、ポケットにもすっぽり入るし、ノートや手帳に挟んで持ち歩くこともできます。

本のサイズが小さくても、文字の大きさは一般の書籍と変わらないので、決して読みにくいわけではありません。ものによっては一般の文庫本よりもゆったりと組んであるので、窮屈さを感じることはないはずです。

串田孫一さんの「雑木林のモーツァルト」は造本はシンプルですが、本文は読みやすいように組んであります。「読むための本」であるためには、本文を犠牲にしてまで小さくしたり奇抜な造本にする理由はないように思えるのです。

外国語のテキストも同じように「はん・ぶんこ」の本に仕立てます。ネット上で見つけた電子テキストをテンプレートに流し込み、体裁を整えるための処理を行えば、それなりに読みやすい冊子にすることができます。どうせ線を引いたり書き込んだりするのだから、ノートに書き写したと思えば本にする手間もそれほどではありません。むしろ書き写すよりは手間がかかっていないはずです。

本のサイズの他に、製本の仕方(とじ方)も市販の本と違っています。

小さな本工房がつくるのは、鑑賞用の本というよりは、日常的に持ち歩き、内容を確認したり書き込んだりすることができるものです。完成された書物というよりは、作業用のノートに近いかも知れません。

なので、立派な装幀である必要はないのです。書き込み作業のことを考えたら、ハードカバーである必要もないし、むしろどのページも平らに開くことの方が重要です。この場合は一本の糸だけでかがり製本します。表紙もちょっと厚めの紙を折っただけのシンプルなものです。でも、これで十分なのです。

目下制作中の本も、第一段階として一定の枠組だけを印刷して製本したものに、萬年筆で書き込む作業をしています。大きさが「はん・ぶんこ」ですから、もともと書き込めるスペースだって広いわけではありません。これで十分に開かないようでは、使い勝手が良いとは言えません。また、ただ順番に書き込むというよりも、あちこちのページを参照する必要があるので、ページのめくりやすさも作業効率に影響します。この点に関しては、市販の糊で製本されたものよりもずっと使い勝手が良いと自負しています。

第一段階の作業を終えたら、実際にPCで入力作業をするわけですが、最初からデジタル作業をするのではなく、アナログである程度のことをした上で行うのは、全体像を把握するという意味でも大事な事のように思えます。最初からPCで作業をするのは、効率的であるように見えて、案外落とし穴があるような気がするのです。

「はん・ぶんこ」で「糸かがり製本」であること。これが市販の本にはない特徴といえそうです。

そして、それに見合った内容があること、これが本を手作りする理由なのかなと思います。

本の修理

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先月のマーケットでお客さまからお預かりした本の修理作業がほぼ完成しました。

豆本ではなく、縦26センチ、横21センチの大型本です。

30年ぐらい前のレシピ本です。無線とじで作られていたため、ページがバラバラになっていました。

セロハンテープでつないであったものをはがし、、一枚ずつばらし、16ページ単位に分けます。

本文が224ページだったので、16ページ×14折にして、順番通りになるように左右のページを7ミリ幅の和紙でつなぎ合わせました。

一折4枚なので、一番内側は隙間がないように、外側は若干隙間を空けて、折ったときに自然な形になるように貼り合わせます。

栃折久美子さんの『手製本を楽しむ』に、この作業についてこんなことが書いてありました。

「面白くも何ともないシンドイ仕事ですけれども、一冊の本のいのちを救うと思って試みてください。二時間もあれば、普通の本一冊分、つなげます。」

確かに・・・ 時間はかかるけれども、作業自体はまぁ単純作業なので。

和紙でつなぐのを表側から(折ったときに内側になる)なのか裏側(折ったときに外側になる)なのか迷いましたが、本文紙がもともと厚みがあるものだったので、綴じやすさ、その後の開きやすさを考えて内側になるように貼りました。痛みが激しい部分は一番外側の分も裏側から補強しました。

完全に乾くのを待って、糸かがりです。

普段豆本を作るときは支持体(麻紐)を使わずに一本の糸だけでかがるのですが、この本はページ数も多いし、大きさや重さを考えるとリンクステッチでは不安なので、麻紐をつかい、ちょっと太めのレース糸でかがることにしました。

つなぎに使った和紙がどの程度まで耐えられるかちょっと不安でしたが、思ったよりは丈夫であることがわかりました。

かがり終えると、つなぎの和紙とかがり糸の太さの分だけ分厚くなってバランスが良くありません。なので、丸背にして、表紙には2ミリ厚のボール紙を芯にして布装にすることにしました。表紙の厚みが4ミリで、だいたい全体が平らになりました。

レシピ本ですから、開いたまま使うことが多いと思われるので、開きやすいように背の部分は空洞になるようにしてあります。

本体と表紙とが分離しないように、丈夫な和紙で貼り合わせてみました。

簡単に壊れることはないと思います。

今回の試みは初めての作業も多く、無事に完成させられるか不安もありましたが、なんとか思い描いた形になったと思います。

本の使い方によって、仕立て方を考えるのも重要なことかなと思いました。

料理をするときに参照しやすいように、開いた状態でおいておくことができるようにすること。これが大事で、いちいち手で押さえるとか、重しを置かなければならないよりはずっと使い勝手が良いと思います。

表紙をどうするか悩みましたが、内容が主婦、母親の本といったものなので、家庭的でちょっと懐かしさを感じられるような木綿の生地を使いました。先月福島県支援マーケットで見つけた会津木綿です。縞の柄で素朴な感じです。こういった幾何学模様の生地は裏打ちや表紙の芯に貼るときにゆがんだり曲がったりすると気になってしまうのですが、なんとかまっすぐに揃いました。多少のずれは手作り故の愛嬌です。

一から新しい本を作るのとは違い、修理はいろいろと難しいことが多いことがわかりました。できるだけ原形をとどめるようにして、裁断は必要最小限にしました。もともとの本とできるだけ変わらないように、でも使い勝手が良いように、この辺りのバランスはそれぞれの本によって違ってくると思います。文芸書の場合と実用書の場合とでも違うでしょうし。もし文芸書であればまた違った装幀を考えると思います。

お預かりしてから一月半、その間に引越やら他の製本作業があったため時間がかかってしまいました。実際の作業は一週間程度で終わったのですが、どのような方法で作業をすすめるか、段取りにひと月以上かけたことになります。

ただ急いでも思い通りのものができるとは言えないし、逆に準備さえしっかりしていれば、あとは単純な作業の繰り返しでできてしまうものなのかもしれません。

工房通信(6月)

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先日、小さな本工房の引越をしました。

新しく工房を構えたとか、規模を拡大したとかではなく、単にこれまで住んでいたところが取り壊しになるためという、ただそれだけの理由です。

引越のための荷物の整理やら諸手続などで、工房活動が滞っていましたが、徐々に作業を再開しつつあります。

まだ段ボールに入ったままの道具や紙類がおいてあるような状態で、なにがどこにあるのかも分からず、はやく片付けなければなりません。

それにしても、運び出した書物が・・・・・・書棚ひとつ分ぐらいは処分したつもりなのに、それでもいくらも減っていません。こんな状況だから、紙の書物を電子化してしまって、ものを減らすというのもわかるような気がします。

ただ、小さな本工房の書物は一度手放したら再入手が困難、面倒なものが多いのも事実、なかなか減らすことができません。

自分の本がぜんぶ「はん・ぶんこ」サイズだったらどんなにかすっきりするだろう、なんて考えてしまいます。実際にこのサイズで十分に読むことができるのであれば、アーカイブスサイトにあるような電子書籍は「はん・ぶんこ」に仕立てることができるし、テキストデータであっても同様に作ることができます。このサイズであれば、持ち歩くのにも邪魔にならず、ちょっとした空き時間に読むことも可能です。

電子書籍を閲覧できる端末も便利なのでしょうが(持っていないので私にはわかりません)、やっぱり紙の本を読みたいという気持ちの方が強いので、多少手間がかかっても、自分で製本してしまった方がいいのです。

さて、小さな本工房になくてはならないプリンター、2005年の秋からずっと同じものを使ってきたのですが、最近不具合が目立つようになり、買い換えました。これまではプリンターとスキャナーと別々になっていましたが、新しいものは複合機にしました。これにより手元の本をミニチュア化する作業も効率良くできるのではないかと思います。

今月のマーケットは6月17日雑司ヶ谷鬼子母神手創り市です。梅雨の季節なので天気がどうなるか心配です。引越などで作業が滞っていたため新しいものはあまりありませんが、製本について提案ができればと思います

先日のマーケットでご依頼いただいた教材コピーの製本作業、A5サイズで272ページになりました。

糸の長さは約4メートル、本の厚さが2センチぐらいになるので、ちょっと太めの丈夫な糸でかがってあります。

製本するために16頁一折として両面印刷したときにページが順番通りに並ぶように配置し、スキャンしていったん整理した上で印刷、製本しました。

表紙を含めると19折分になります。

もう一つの仕事、本の修理はいったん全部のページをばらして(無線とじなので)、16ページ単位で糸かがりするために和紙でつなぐ作業が完了。これから糸でかがって仕上げる予定です。

ちょっと先のことですが、10月に豆本フェスタ3というイベントがあります。

こちらでミニワークショップの講師をつとめることになりました。ヴィクトリアン絵本のミニチュアを糸かがりで製本するという内容です。6月1日からワークショップの申し込み受付が始まったようですが、お陰様で申し込みが定員に達したようです。先にこちらでご案内しなければならないところ、遅くなってしまい申し訳ございません。

ワークショップで作る豆本は、手元にあるヴィクトリア時代のイギリスの本をスキャンし、縮小したものです。当日はオリジナルの絵本も一緒にご覧頂けるように準備しておきます。

ワークショップに参加できない場合でも、ご希望があれば何らかのかたちでお手伝いができればと考えていますので、リクエストなどがありましたらご連絡ください。

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