2012年3月アーカイブ

工房通信(3月)

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前回の記事からだいぶ時間がたってしまいました。

遅くなりましたが、工房通信の3月号です。

東京都千代田区の明治大学中央図書館で3月24日から企画展があります。

明治大学図書館の案内

この展示のなかで、昭和の名作豆本が展示されているのですが、特別展示として傍らに平成の豆本作家の作品も若干並ぶことになりました。

現代の創作豆本として、5名の豆本制作者の作品が数点ずつ展示されています。

小さな本工房の手製本も展示して頂いています。

出展作品は、『対訳小倉百人一首』14冊とヴィクトリアン絵本のミニチュア5冊です。

対訳小倉百人一首豆本です。小さな本工房がこれまでに蒐集した外国語訳百人一首のうち14点を同じレイアウトになるように編集し製本しました。

14冊の内訳は、英語訳が7点、ドイツ語訳が3点、フランス語訳、ロシア語訳、中国語訳、韓国語訳がそれぞれ1点です。

手元に翻訳書がありながら、豆本に仕立てていないものも何点かあるので、もう少し増える見込みです。

たとえば欧文の翻訳の場合、4行あるいは5行に統一されているものは同じレイアウトにするのは難しくないのですが、翻訳によっては、こういった形式に縛られずに訳されたものもあって(訳によって行数が揃っていない)、これを同じレイアウトに揃えるのが難しいため、これらがまだ豆本化されていないのです。

書籍、あるいはコピーが手元にあるもの以外に、未入手の資料や、ウェブ上にある翻訳なども加えたら、第二集として同じくらいの数が集まるかも知れません。気長に取り組んでいきたいと思います。

この14冊は、ページ構成もレイアウトも同じように作ってあります。

展示のために専用の「棚」も作り、並べたときにタイトルが分かるようにカバーを掛けてあります。

この本は小さな本工房の定番「はん・ぶんこ」サイズ(105ミリ×74ミリ)なので、豆本としてはちょっと大きめの小型本ですが、読むための本としての工夫が施されていると自負しています。

対訳百人一首豆本は全部テキストデータを入力し、編集したものですが、もう一方のヴィクトリアン絵本のミニチュアは画像データを編集して製本したものです。

5点のうち2点は手元にある洋古書をスキャンして豆本に仕立てたもの、のこり3点はネット上のアーカイブスサイトから電子化された画像データを編集して製本したものです。

1点は表紙の画像も含めてほぼ同じようにミニチュア化してありますが、残りの4冊については表紙は小さな本工房の装幀を施してあります。一枚の布で装幀したもの、二種類の紙で継ぎ表紙にしたもの、コーネル装を模したもの、などです。

紙の本をデジタル化することが行われている今の時代に、反対にデジタル化されたものを紙の本に戻すという「アナログ化」の試みです。

電子書籍やそれを閲覧するための端末が普及してきていますが、敢えてその流れに逆らって(?)、紙の本にこだわるというのもアリかもしれません。

PCのモニタから得られる情報と、紙の本から得られる情報とが同じであったとしても、あるいは、デジタルが検索などの面で紙媒体よりも優れていても、紙の書物がなくなることはあってはいけないと思います。

むしろ、デジタル全盛の時代だからこそ、紙の本に対する愛着も増してくるということだってあるだろうし、そんな時に手製本が見直されるのではないかという想いもあります。

展示品ではありませんが、これらの本を制作しながら、マーケットでご依頼を頂いた豆本を並行して作っていました。

表紙の素材は左側がブックカバー用の紙、右側はコットンの布地です。

マーケットでは本のサンプルだけをご覧頂き、表紙の素材はお客さんが選んだものを使っています。

同じ本であっても、表紙の素材や色、柄などが変わっただけでも印象がだいぶ違います。

素材だけをみても完成後のイメージはなかなかつかめないのですが、いざ仕上がってみると予想以上に中身と表紙が調和していて、製本した私も驚くことが多いのです。

ウォルター・クレインの絵本です。

(写真はご依頼を頂いた方が撮ったものをお借りしました)

これは豆本ではなく、A5サイズぐらいの大きさですが、やはり同様にお客さんが選んだ布地で装幀してみました。

製本する際に表紙の素材をお預かりしてから、花布や栞紐の色を選びます。同じ手間なら、美しい方が良いに決まっています。なので、表紙の素材を見てからあれこれ吟味するのです。

こちらは商品化の為の試作品です。中身はアーカイブスサイトにあった洋古書絵本です。

古い洋書には革とマーブル紙で装幀されているものがありますが、これはどちらも和紙です。

白い部分は「墨流し」加工がしてあり、マーブル紙と同じような雰囲気にしてみました。

これらの3冊も背の色と花布、栞紐が調和するような色を選んでみました。

次のマーケットでは、表紙のサンプルを少し増やし、また中身の素材についても、いろいろと提案していこうと考えています。

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