2011年8月アーカイブ

12冊の百人一首

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今年6月に行われた「てづくり豆本展」でお披露目した『対訳小倉百人一首豆本』は全部で9冊、つまり9通りの翻訳を一訳一冊で仕立てたものでした。

豆本の展示ということもあって、普通つくるものよりも小さい大きさ(A8判)にしたのですが、「読むための本」として見た場合、本そのもののサイズも小さいし、それにあわせて無理矢理テキストを収めようとしたため、文字も小さくなってしまいました。

手元にはいつもの「はん・ぶんこ」サイズで製本したものがあります。

日本語と翻訳と対訳形式にするため、外国語訳の部分はぜんぶ自分で入力しました。これを印刷して、ミスタイプがないかをチェックするために印刷・製本したものです。これは読むことよりも、一語一語照合して、校正するための本なので、装飾的な要素は無く、開きやすく書き込みしやすいように製本してあります。私はこちらのほうが気に入っているので、最終的にはこの大きさで上製本に仕立てようと考えています。

4月に作った第一集4冊は雅な感じの和紙で装幀しました。表紙に和紙を用いた洋装本ですが、自分でも驚きの仕上がりで、評判も上々でした。

さて、この対訳小倉百人一首豆本を作るために、まず翻訳書を集めることから始めました。年末にフランス語訳とロシア語訳を見つけたのを皮切りに、今年初めには中国語訳、そして図書館で英訳本を借りて来て、それから海外の古書店サイトを通して英訳本、ドイツ語訳本を数冊購入して、最終的には十数点になりました。書店や図書館で見たけれども入手していない本もあり、また書物を確認することはできないけれどもネットで見つけたテキストも含めれば、さらに増えることになります。

まずは、一つの区切りとして、この中から12点を製本しようと計画しています。予定では英訳6点、ドイツ語訳3点、フランス語訳、ロシア語訳、中国語訳各1点です。

本文がどれもおなじ体裁なので、表紙も統一感をもたせつつ、きちんと区別できるようなかたちで装幀できればと思います。

それと、余裕があれば、一首12訳(あるいはそれ以上?)で一首一冊の小さな本にするとか、少し大きめの本(A5判ぐらい)にして、いくつかの翻訳を読み比べられるような形にするとか、そんなことを考えています。

香草雑記

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小さな本工房は手製本をてがける工房なのですが、手作りの本を作りはじめたのは8年ぐらい前です。

最初に作ったオリジナル豆本は植物に関する夢占いの本でした。19世紀末のイギリスの植物民俗誌の本から、「○○の夢はすなわち・・・」の部分だけを抜き出して、植物名とその解釈をまとめたものです。A7判で16ページ、同じ内容でA8判32ページの二種類を作りました。

このときは Adobe の PageMaker というソフトで作業しました。いまは Adobe の InDesign というソフトを使っていますが、このときに作ったテンプレートが今の本作りの基礎になっています。

最初の本が植物関係だったのは偶然ではありません。本工房の活動よりもずっと以前からハーブには興味があって、あれこれ資料を集めたり、ハーブショップやガーデンに行ったり、また自分で栽培したりしていました。

1990年代のことで、アロマ関係もまだあまり知られていない頃でした。ちょうどその頃「HERB」という雑誌が出ていて、同時代的に毎号購読していました。今は休刊となっていますが、全号揃っており、ちょっとしたお宝です。

そんなわけで、本工房の書棚の本の半分ぐらいはハーブを中心とした植物、園芸、民俗関係の本が占めています。新しい本はあまりなく、大部分は古書です。特に英語やドイツ語の本は19世紀後半から20世紀前半ごろのものが中心です。

ハーブのフォークロア研究は、もともとライフワークとしてやっていきたいと考えていたものでした。英語やドイツ語などの外国語を勉強しているのもそのためですし(韓国語はまた別です)、関連がありそうな資料は多少無理をして蒐集してきました。

先日、偶然アーカイブスのサイトで2004年頃に作りかけたHPを見つけました。

当時のサイトのドメインはもう解約していて、また、手元にバックアップデータも無いので、こんな形で自分の文章に出会うとは予想もしていませんでした。

ハーブのフォークロアに関する記事をまとめようとして、10点ばかりアップしたものです。

せっかくなので、このサイトに転載することにしました。

7年も前のものなので、その後の勉強や資料が増えた分だけ補充したいところですが、さしあたりそのままの形でのせてみました。

右のカラムに「ウェブページ」とありますが、そのなかの「香草民俗誌」が7年前の記事です。今読み返して見るといろいろと未熟なところもありますが、時間をかけて整理していきたいと考えています。

「はん・ぶんこ」の魅力

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小さな本工房の「はん・ぶんこ」サイズの本は、ただ小さいだけでなく、使い勝手がいいものでなければならないと考えています。

もし、小ささを追求しようとするのであれば、技術的に不可能なことではありません。

A8 判やその半分のA9判の本を作ったこともあります。でも、これを工房の作品としてお披露目するには、そのサイズにふさわしいコンテンツかどうか、何故そのサイズでなければいけないのかといった理由を考えることにしています。

A8判の本には、『百人一首暗記帳』と『対訳小倉百人一首』のシリーズがあります。

このうち、暗記帳の方は見開きで一首分、つまり合計すると200ページを超えてしまう、豆本としては厚みがあるものですが、本を手にしたときの感触や、ページのめくりやすさ、文字の読みやすさやレイアウトなど、それなりに工夫しています。

市販の単語カードよりは大きめ、冊子式でページの移動はできませんが、配列も「一枚札」(むすめふさほせ)、「2枚札」(うつしもゆ)、「3枚札」(いちひき)・・・といった具合で、効率良く暗記し、記憶を定着させるための工夫が施されています。

また、左側の取り札だけを見ながら、上の句が反射的に出てくるまで繰り返して覚え込むこともできます。

暗記の基本はなんと言っても繰り返しです。

本自体が邪魔にならないくらい小さいので、どこにでも持ち歩けます。また、糊で製本したのではなく、糸でかがってあるので、どのページも同じように180度開くことができ、同じペースでページをめくることができます(糊で固めた本はめくりやすいページとそうでないページができてしまいます)。同じペースでページをめくることができるかどうかは案外重要なことなのです。

覚えてしまうことが目的なので、本をそんなに丁寧に扱う必要はありません。むしろ使い込んで欲しいくらいです。

同じくA8判で作った本に『対訳小倉百人一首』があります。6月の展示会にあわせて作成したものですが、何とか文字は読むことができるとは言え、使い勝手が良いとは言えません。9冊(9種類の翻訳)あるので、和菓子のように装幀して、箱に並べてみました。ただし、この本は鑑賞することが目的なので、A7判の「はん・ぶんこ」がぴったりのような気がします。

さて、本題の「はん・ぶんこ」サイズですが」、もともとは自分の勉強用に作ったものがほとんどでした

製本されたノートに印刷することはできませんが、逆に考えて、印刷したものを製本すれば、テキストが最初から印刷されたノートになります。

外国語の例文集や、フランス語動詞の活用表、韓国語の漢字音便覧など、とにかく覚えてしまう必要があるもの、頻繁に参照する必要があるもの、ちょっとした辞書代わりのもの等をこのサイズの本に仕立てました.

日本の常用漢字表に韓国語音を併記したものと、韓国語漢字音便覧に日本語の字音仮名遣いを書き入れているところです。

万年筆で書いてもにじみが少ない専用紙を使っており、また糸かがり製本ですからどのページも開きやすいのです。もしこれをシステム手帳に綴じたり、ステープラーで綴じた簡易製本の場合、段差ができてしまって作業がしにくくなってしまうでしょう。

これらの本は、製本してしまえば完成というのではなく、むしろ、製本した後での作業用のノートのような意味合いが強いのです。

印刷したものに書き込む場合、一枚一枚がバラバラな状態であるよりも、製本されていた方がずっと作業はしやすいですし、A4用紙に印刷して、半分に折ったA5判ぐらいだと、結局広げたらA4サイズの場所をとってしまいますから、狭いところでの作業にはむかない。

その点、A7判の本であれば、開いた状態でも文庫本や葉書の大きさですので、狭いところでも作業ができます。電車の中でだって書き込み作業ができるのです。

書き込み作業がない場合でも片手で持って読書することができますから、混雑した満員電車の中でも邪魔になることはありません。そういった意味で、やはり暗記物などはこのサイズの本にまとめてしまうというのも良いかなと思います。

豆本と呼んでも良いものか、定義上の大きさが大事なのではなく、使い勝手を基準にをあれこれ試したら、この大きさに落ち着いた、そんなところです。

小さな本工房コンセプト

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昨日の手創り市は雨のため中止でした。

初めて手創り市に行ったのは去年の9月。秋晴れの中での野外市に魅了され、早速10月の出展申し込みをし、選考に通ったのは良いのですが、当日はあいにくの雨で中止。

もっとも、このときは作品も商品もほとんど無く、また什器類の準備もできていなかったので、雨に救われたようなところもあります。

翌11月は繁忙期に当たるため出展申し込みはしませんでしたが、(予想に反して)休日出勤を免れたので、客として見に行きました。

一口に手作りといっても、ジャンルも様々で、意外なものに出会えたり、出展している作家さんから直接お話を伺ったりと楽しいマーケットでした。

そして、12月に初出展を果たし、その後毎月(3月の地震の直後と8月の雨天中止を除き)出展しています。

ハンドメイドの分野でも、手製本で参加している作家さんはそれほどいないようです。

手製本、豆本を知っていただけるのであればと、ついおしゃべりが多くなってしまいます。売れるかどうか、いくら売れたかよりも、お客さんとのおしゃべりを愉しむのが目的だと思っています。

小さな本工房は、もともと「小さな本」、つまり豆本をつくる工房でした。豆本といっても、文庫本の半分「はん・ぶんこ」サイズですから、豆本と呼ぶには大きい、あるいは規格外なのかもしれません。

他の記事にも書きましたが、普通の本から見たら小さすぎるし、豆本と言うにはちょっと大きい、どちら側からみても中途半端というか、規格外というか。

でも、この中途半端な規格外とも言える大きさこそが「小さな本工房」の原点なのだと考えていますす。

A4用紙1枚が16ページの冊子になり、化粧裁ちをしなければ全くゴミが出ない、そして持ったときに手に馴染む大きさであり、文字のサイズも極端に小さくせずに十分な情報量を盛り込むことができる。資源を無駄にしないという意味において「エコ」であり、使い勝手の良さという点で「実用的」と言えると思います。

「実用的豆本」とは昨年春に彷書月刊という雑誌で「豆本型録」と題した特集が組まれたときに寄稿した文章のタイトルです。締め切りぎりぎりになってようやく書き上げた文章に、最後の最後に考え抜いてつけた題名が「実用的豆本」でした。

小さな本工房の考えは、

豆本も書物であり、書物であるからには、きちんと開くことができて、普通に読むことができなければならない。

ということです。

普通に「書物」として考えたら、サイズがちょっと小さいだけの違いで、あまりにも当たり前なことです。

小ささを追求したり、奇抜なものを作る気はさらさらない、ただ、きちんと「書物」と呼べるものを作りたい、それが小さな本工房のコンセプトなのです。

工房通信(8月)

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まずはお知らせから。
今月21日の鬼子母神「手創り市」に出店します。(野外市のため天気によっては中止です。当日サイトで確認して下さい。)

↓手創り市のサイト
http://www.tezukuriichi.com/home.html

絵本の製本依頼をいただき、作業に取りかかっています。

私は絵を描いたり、文章を書いたりといったことはできず、学習用の例文集や単語帳のようなものばかり作ってきました。

一方で、本に仕立てることで誰かに喜んでいただけるのではないか、そんなお手伝いができたらいいなと、ずっと考えてきました。

いわゆるオーダーメイドの製本です。

ネットでオリジナル絵本、プレゼント絵本などを検索すると、あらかじめストーリーができていて、そこに名前やちょっとしたメッセージを入れて本に仕立ててくれるサービスがありますが、それとは違って、作家さんが用意した作品を本の形にするというものです。

ポストカードを画集のようにしたり、一枚一枚の絵をスキャンしてアルバムのように仕立てたり、ブログ記事を文庫本や単行本のようにしたり、そんなことを考えています。

何も印刷されていない、手作りのノートやスクラップブックでも、表紙や綴じ糸をちょっと工夫するだけでも「わたしだけの」ものになります。

大量に作るのであれば専門の業者さんに任せることもできるのでしょうが、当然それだけの費用がかかるわけで、またそれほどたくさん必要かどうかもわかりません。

なので、「手作りでよければ」、1冊でも、10冊でも、あるいは100冊でも必要な分だけ作りましょうというのが趣旨です。

デジタルデータであっても、印刷して製本すると俄然使いやすくなります。

また、紙に描かれたアナログデータもスキャンして製本することで思い出や記念の一冊にすることができますし、同じものを何冊も作ることができるのでプレゼントにもぴったりです。

手創り市では、これまでの作品サンプルをできるだけ多く、いろいろな種類のものをご覧いただけるよう準備します。

また洋古書を本の形に戻したものも何点か準備する予定です。

手製本に興味がある方、やってみたい方、気軽に声をかけてください。

お待ちしています。

レターセット

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小さな本工房の手作り封筒&便箋。

手製本の経験、技術を生かし、封筒などの紙小物を作っています。
市販の封筒に印刷するのではなく、A4用紙に印刷して、切って折って封筒にします。

洋2サイズ(162ミリ×114ミリ)なので、ポストカードをそのまま入れたり、A5サイズの便箋なら半分に折るとぴったり収まります。

3月の大震災から5ヵ月。

みんなが自分にできることはなにかを問い、その答えを探してきました。
小さな本工房も、自分にできることを、できる範囲で支援して行きたいと考えています。

「ふくしま応援レターセット」です。
福島県出身のあきばたまみさんのイラストを左下に配置してあります。

今日の夜、「スマイルふくしま」応援イベント「ひまわりの咲く丘で」が東京恵比寿で行われます。

小さな本工房も福島県出身なので、なにかお手伝いができないか、それを考えたときに、この封筒が思い浮かびました。

封筒1枚+便箋2枚(すべてにももちゃんのイラストが印刷してあります)で1セット100円、売上金は義援金とさせていただきます。

福島県にいるお知り合いの方へ、避難生活を余儀なくさせられている方へ、福島県出身の方へ、そして福島県を応援してくださる方々へのメッセージをお届けするお手伝いができたら嬉しいです。

ももちゃんが抱きかかえているのは「ふくしまけん」
これをみたら福島県民は涙ものです(私はこのイラストに「ひとめぼれ」でした)。

もうすぐお盆。事情があって帰省できない人もいるかもしれません。
依然として先が見えない原発事故で、不安な暮らしを強いられている福島や各地の被災地域の方々へ励ましと応援のメッセージを届けてください。

今夜のイベントで40セット販売します。もし、必要な方がいらっしゃれば、必要な分だけ作ります。

また、福島県版以外の封筒もご依頼があればお作りします。他のデザインの制作も承ります。

ご協力いただける方のご連絡をお待ちしています。

手作りの本

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古い洋書をミニチュアに仕立てる「洋古書ミニチュア化プロジェクト」

あれもこれもと作っているうちに、仮製本のものだけでも50冊以上になってしまいました。
A7判の「はん・ぶんこ」にしても文字があって、挿絵があるものを選んだので、ほとんどが子供向けの絵本です。

最近は大きさ(小ささ)を限定せずに、A5判基準やA6判基準の本も作っています。

写真は Walter Craneの "Floral Fantasy"(48頁)と "The Old Garden and other verses"(128頁)。

Craneの絵は時々アンティークの挿絵展などで見かけますが、だいたい1枚でも5桁はします。装幀された本を買いたくても簡単に手が出ません。

そんなわけで、印刷から製本までを自分で行うことにしました。
本文紙はNTラシャ、家庭用のインクジェットプリンターで印刷したのですが、予想以上にきれいに仕上がりました。

これまでは本文と表紙とを別々に作って、あとから合体させる方法で製本していたのですが、最近は表紙と本文とをまとめて一本の糸でかがるものが多くなりました。

このほうがどの頁も平らに開くことができるので読みやすいのです。
とくに絵本はこの様式で作っています。

表紙の部分は厚紙を芯にして、四辺を包むような形になっています。
糸でかがった部分は鎖のようになっています。

紙を4枚ずつ折ってあるので、綴じた後に紙の厚みの分だけのこぎり状になってしまいます。
本文と表紙を別々に作るときは、本文をかがった後で化粧裁ちをしますが、このように表紙も一緒にかがる場合は、本文だけを切りそろえることはできません。
なので、かがる前に小口の部分を切りそろえておくことで、なめらかに仕上がりました。

この様式で製本すると、背表紙がないので、カバーを掛けることにしています。
角背や丸背の上製本であれば背表紙もあって、より本らしい形になるのですが、手作りならではの味わいを出したくて、この形にしているのです。

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