語学系豆本

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作品を見てすぐに、これは○○さんの作品だ!とすぐにわかるものを創り出せる作家さんってすごいと思う。

作品に備わっている風格とでも言うのか、このセンスは、このこだわりはまさしく......、といったもの。作る人の世界観がそのまま作品に現れていて、それが作者と作品とを一体化している、なおかつ他の人が一目見ただけで見抜いてしまう。単にひとつの作品を作るというのではなく、「世界観」を創り上げている。

小さな本工房の本もそうありたいものだと思う。

まだ作品自体がそれほど世に出回っているわけでもないし、直接作品を見ていただく機会があったとしても、これが小さな本工房の世界だという決め手になるものがない。

創作系ではないので、本の中身(コンテンツ)に関しては勝負できそうもないが、他の人が作らないであろうコンテンツがあるとすれば、「語学系」豆本。

専攻が語学系だったので、例文集や単語帳、活用表といったものを小さな本に仕立てることはできないか、そんな思いつきからできあがった本。ドイツ語の教材『関口・初等ドイツ語講座』の例文を集めた例文集、フランス語の動詞活用表をカラフルにアレンジした動詞活用便覧、韓国語の漢字音を韻母ごとに並べ替えて作った韓国語漢字音便覧、等々。

豆本にかぎらず、手製本を手がける作家で、こんな本を作ろうと考える人はそういないと思う。

小さな本工房のはじまりは「語学系豆本」だった。

まずはその大きさ、文庫本の半分「はん・ぶんこ」サイズ。

それから電車の中などでも普通に読むことができるサイズでテキストを組んであるので、手にも馴染むし、目にも優しい。

この両方を備えていなければ作る意味がない、というくらい実用性にこだわった。

実際に使うのが目的なので、装飾的な要素はないが、開きやすさ、丈夫さは市販の本にも負けていないと思う。読むだけでなく、書き込み作業をすることも多いので、どのページも平らに開くように製本してあるし、本文紙も筆記に適した紙を選んである。

サイズは見開きで文庫本と同じだが、感覚としては、情報カード(5×3カード)を綴じたようなものかもしれない。

見開きで収まらないばあい、全体を俯瞰できるようなチャート(索引を兼ねる)を大きめの紙に印刷し、ミウラ折りで表紙の内側に貼り付ける。そうすると全体を俯瞰しながら、個々のページを参照することができる。

それから、この本は化粧裁ちをしないので紙に無駄がなく、ゴミが出ないということも付け加えておく。

こうしてできあがった本をいつも鞄の中やポケットに入れて持ち歩き、電車の中やちょっとした空き時間に取り出して眺めたり、念仏のように唱えたり。

語学の勉強なんて、別に机に向かってやるようなことではない。暗記物は電車の中や空き時間にやった方がいい。寝転んで眺めるにしても、このサイズの本なら邪魔にならないし。

ついでながら、百人一首暗記帳も最初は「はん・ぶんこ」サイズだったが、これに関しては試行錯誤の結果その半分のA8判にした。これはこれで使い勝手が良い。

そう考えてみると、小さな本工房の語学系豆本は思っている以上に実用的なことがわかる。いまも新しい本を準備中である。

ただ、こういった本はイベントやマーケットで注目される可能性がきわめて低い、なのでひっそりと作り続けるしかないのだ。

まぁ、自分が欲しいものを作っているだけのことなので、注目されるかどうかはあまり重要ではないのだが。

解ってくれる人がいたらうれしいな、と、それだけ。

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