2010年8月アーカイブ

工房通信(8月)

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毎日暑くて、とても作業どころではない。

辞書と格闘しながら自作の豆本兼ノートに万年筆で書き込む作業も7割程度しか進んでいない。何度も同じページを開くので、ノートとしては馴染んで来たような気がするが、酷暑の中での作業のため、印刷した文字が汗で滲んでしまったり、万年筆のインキが乾く前に他のページへ移動するため、跡が残ったり。
やっぱりカラーレーザーを導入すべきか?

単純な作業ではあるが、進捗状況が目に見えることや、汚れや文字のゆがみ(電車の中での作業が多い)はいかにもアナログ的。整然と並んだデジタルの文字よりもずっといい感じ。

さて、小さな本工房の作業であるが、こちらはちょっと滞り気味。調子がよければフル稼働なのだが、そうでないときは締め切りがあっても一向に進まない。どちらかというと後者の方が遙かに多い。
頼まれもしないのに引き受けたりして、そのくせいつまで経っても納品できない、そんなこともしばしば。ちょっと迷惑な話かも知れない。

無理をして急いだり、納得できないものを作る気はない、と言ってしまえば聞こえは良いが、ある意味プロとしては失格かも。
職人とプロは同じだろうか? ふと思った。
職人だったら、自分の仕事に誇りを持ち作品には責任を持つだろう。
プロなら発注者の意向に応えられるよう最大限の努力を払うだろう。

そもそもなぜ豆本を作るのか、ときどき考えることがある。
「実用的豆本」にも書いたように、自分が欲しいと思ったものを気ままに作っているにすぎない。本の大きさ、綴じ方、用紙の選択、それから内容に至るまで、どれもが自分の「わがまま」であり「こだわり」なのだと思う。
外出先で読みたいものを、持ち歩きやすい大きさの本に仕立てる、勉強用の教材を使い勝手のよいように加工して持ち歩く、美しいと感じた本をミニチュア化して手元に置いて眺める。大体はそんな感じで作ったものばかり。

こだわりについて言えば、やっぱり文庫本の半分「はん・ぶんこ」サイズ。何年もこの大きさの本やノートを作ってきたせいもあるが、一番手に馴染むような気がする。片手で持ったときに丁度手に収まり、そして十分に読むことができるサイズで文字を組むことができること。これは「雑貨」でない「本」としては絶対に譲ることができない部分。
それから製本の仕方。ページが多くても少なくてもきちんと開いて読むことができる、開いたり綴じたりしても十分に耐えられるだけの丈夫さが必要。

今回の作業では、それこそどのページも何度も開いたり閉じたりしたが、糸でかがっただけの単純な作りでも、機能面では十分に合格点。
見た目の派手さや豪華さ、あるいは奇抜さは全くないが、その代わり実用的であることは保証できる。
美術品や骨董品のような本を作ろうというのではない。またおもちゃのような雑貨でもなく、日常使うものと同じように機能的で実用性のある、そんな本ができたらそれで良いと思う。

辞書と萬年筆と豆本

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先週末からちょっとした作業に没頭していた。

左手には辞書、右手には萬年筆、そしてその間には自作の豆本。

いま、自作の豆本の内容をチェックする作業を行っている。
サイズはいつものA7、ページ数は作業用に編集してあるので少なめだが、それでも96ページもある。

単純な作業の繰り返しだが、効率よく、ストレスを少なくするためにいくつか工夫してある。

◆豆本のサイズ
辞書を基準に豆本の中身をチェックするのが目的なので、一回一回ページをめくらなければならない。勿論規則的に並んでいるので、大体の場所はすぐ分かるのだが、開きやすい大きさ、それと書き込み作業がしやすい大きさ、そして電車の中や外出先でもチェックできるというメリットを考えるとやはり今のサイズ(A7判)はすぐれていると思う。

◆豆本(&ノート)の用紙
読むだけの豆本なら、紙についてあまり気にすることはない。紙の目が合っていればそれで十分。ただし、今回の作業は、「書き込む」ことがメインなので、ペン(萬年筆)との相性が何よりも重要と考えた。そこで選んだのが、萬年筆用に作られた無地のレポート用紙。

インクの乗りがよく、発色もすぐれている。インクジェットプリンターで印刷しても予想以上の仕上がりで、単純に読むだけの本に仕立ててもいい感じになる。この萬年筆専用紙で印刷した場合、文字の上に蛍光マーカーで塗っても簡単には滲まない。

従来はインクジェットで印刷したものはマーカーが使えないという問題があったがこれに関して解決できたのは快挙。

◆本の開きやすさ
この手の作業をするときは、本の開きやすさが何よりも重要。
とにかく、どのページであってもきちんと開かないとストレスになる。特に筆記が目的なので、平らに開くかどうかで作業効率が違ってしまう。
今回は、背をむき出しの製本様式でかがっているので、180度開いても全く問題ない。最終的なものはノートの機能は不要になるので、背表紙も含めて製本する予定だが、途中の段階ならこれで十分。

◆萬年筆
どんなペンを選ぶかは、どれだけ集中して作業に取りかかることができるか、どのくらいの時間作業に専念できるかを決める重要な要素。

特に文字と文字との隙間に書き込みをしていく作業なので、中字、太字では文字がつぶれてしまう。小さな文字を書き込む必要があるので細字の萬年筆を使用している。

先日萬年筆売り場で極細のペンを試筆してみたが、ちょっとかたい感じがしたので購入は断念。手元にある普通の細字でも十分に対応できることが分かったのでずっと同じ萬年筆で作業をしている。
丸善オリジナルのストリームラインの細字。書き味がやわらかく、3時間程度続けて作業していてもそれ程疲れない。

◆辞書
今時、電子辞書という手もあるのだが、作業の性質上、また内容上、古い辞書に頼ることになる。実際に使っているのは昭和の初期に出たもの。舊漢字旧仮名遣いで、現代のものとは違うのだが、慣れるとなんてことはない。作業を忘れて辞書を読み込んでしまいそうな誘惑と戦っている。

そんなこんなで、まだ作業は途中だが、ちょっとずつ、愉しみながらやっている。

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