『晩夏』再読

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これまでも何度か書いたことがあるが、一番のお気に入り作家はシュティフターで、日本語に翻訳された作品の多くを蒐集している。(翻訳書のすべてではないが、主なものはだいたい揃っているはず)

コレクションの中には、同じ本が二冊以上手元にあることもあるので、田舎に置いて、帰省したときに読むことができるようにしている。そんな中の一冊が、『晩夏』の全集版。実はこの本、むかしずっと通勤鞄にいれて持ち歩いていたため表紙がはずれてしまい、自分で装丁しなおしたもの。所どころに鉛筆で線が引いてある。

去年の夏に帰省したときに、この本を田舎に持って帰り、どうせ同じ本があるのだから(手元にあるのは新品同様のもの)と言う理由で置きっぱなしにしていた。

『晩夏』はこの全集版のほかに、文庫版も出ているので、通勤途中でで読むならばむしろ文庫版の方が読みやすいのだが、なぜかこの一年間はほとんど手にすることがなかった。

帰省の折りに、鉛筆の線が引いてある、自分で装丁した全集版を持ち帰って、一年ぶりに行き帰りの電車の中で読んでいる。

非常に懐かしい感覚。

二段組みで500ページもあるので、決して軽いわけではないが、電車の中で読むにしても、はやりこちらの方が良いようだ。10年以上前から何度か読み返しているので新鮮な感じがあるわけではないが、書かれた言葉ひとつひとつが懐かしいし、線を引いた箇所を読み返すと当時と今とで同じように感じるのか、違っているのかが分かり興味深い。

むかし、『晩夏』のなかの表現を集めてノートを作ろうとしたことがあった。そういえば、これも豆本作りのきっかけの一つだったことを思い出した。

ドイツ語で書かれた『シュティフター語録』が手元にあるのだが、大部分は『晩夏』と書簡から集められたものであるのをみてもいかに深い作品であるかがうかがえる。

ちなみにこの作品、他の人には薦めたいけど、敢えて薦めたりはしない。なぜなら長編小説として読むと、面白いところがほとんどないから。

でもある種の教養書として読むとはまってしまう、自分にとってはこんな本なのだ。

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