『晩夏』のことば

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ちょっと前に、『知的生活』のことばについて書いた。今日はシュティフターの『晩夏』から。

「あなたは活動の根底を幅広くしなければなりません。

普遍的な生命力がすべての、あるいは、多くの方向で活動しているときは、あらゆる力が働いていますから、一つの力が唯一の方向をざしているときよりも、人間ははるかに満足し、充実感を持つものです。こういう場合には活動を全体として完全で強固なものとすることが容易です。

一つの方向にかたよると、精神が偏狭となり、傍らにあるものが見えなくなり、とほうもない方向に導かれます。

なにか意義のある事業をしようとして、特定の事柄に手をつけるのは、あとになって、基礎ができあがってからのほうがよろしいのです。

そうすれば、かたよった道におちいることがないでしょう。

青年時代には、あらゆる方面の勉強をしなければなりません。それが成人になってから個別的なものの役に立つのです。

こう申したからといって、人生のあらゆる方向において――たとえばあなたの場合はすべての学問においてということになりますが、――もっとも深いところまで到達しなければならないというわけではありません。

そんなことは不可能ですし、能力をこえて、殺してしまう結果となりましょう。

そうではなく、我々を包括している人生を探求し、さまざまな減少の働きを自己自身で受け止め、特に学問的に研究しなくても、それらの影響の跡を知らず識らずのうちに自己の中に刻みつける――

この点に、精神が自然のままに得た知識と、意図して養われた知識の相違があると思います。

こうして、人間は次第に人生のさまざまな出来事に公正に対処できるようになります。・・・」

ちょっと引用が長くなってしまったが、こういったことを語ってくれる先輩が身近にいたらどれほど素晴らしいかと思う。

この本は、人生の先輩の言葉として読むこともできる。

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